第2話

 これでだいたい今日来るメンツはそろったかな、と思った時だった。

数えてみると合わない………………部員の総数よりもここに集まってきた数の方が多いではないか!?


「あのー、僕ら入部希望なんですけど……」


「えっ、あ、ここ体操部だけど興味あるの?」


1年生っぽい子らが4人ほど手を挙げていた。


「はい! でも僕ら全員未経験なんですけど入れますかねぇ……?」


「もちろんよ、今いる部員は全員未経験で入部してるから!」


「まーた今年も未経験しか入ってこないのかよ、こんなんじゃ今季も県代表なんて夢のまたゆ……べっ!?」


余計なこと言おうとしたアホの田中に腹パンして口を塞ぐ、まったくどこの世界にでもこういういるだけで面倒くさい人間っているもんだわ!


「じゃあとりあえず着替えたらそこに整列して上級生がどんなことやってるか見ておいて、しばらくしたら声かけるから!!」


「は、はい!」


全員運動が得意そうな感じには見えないけれど真面目で良い子そうだったのが救いだ。体操はコツコツ練習できるものが結果を出すというもの。


「適当で良いからストレッチやっといてね君たち!」


体操服に着替えた新入生たちをストレッチさせてる間、エバーマットが出ているのを確認した。


とりあえずせっかく興味持ってくれたわけだし最初からつまらない練習させてすぐやめられたら困るから、面白いことさせてあげよう。バク転とかなら1日練習すればある程度形になるだろうから、これを覚えさせて体操の技ができたという成功体験を実感させて続ける気を継続させてみるのが体操部の常套手段である。


パンパンパン!!


「ストレッチはすんだわね? じゃあとりあえず最初だから何やって良いかわからないだろうからこのマットのところに集まってバク転やってみよう!」


ゾロゾロ……………………


反応は微妙なかんじだがとりあえずやらせてみることに意味があるのだ。


「まず回る感覚を覚えてもらうからコッチ来て一人目!」



前に倒れるようにして後ろに倒した。


「わっ……!」


「ほらちゃんと手をついて! これがバク転の視界よ、これで最初は感覚掴んでいくの」


本人も見てる側もいきなりやったものだからすこし面食らったようだがまあさいしょはそんなものだろう。


「さあ次!」


同じようにして全員を捌いていく、もちろん一度じゃなかなかわからないだろうから一人5回はやらせなきゃならない。やっぱしんどいなぁ……


「部長ちょっと代わってよ!!」


「えぇ、これから技練やる予定だったのに……」


「あんたも試合のことばっか考えるのは仕方ないけどそればっかりじゃ視野が狭くなるでしょ、こういうこともちゃんとやったほうがかえって良いことがあるかもよ?」


渋々やってきた部長に彼らの補助は任せることにしたのだった。

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