第四章 幕間

【成果と報せ】




「ラティさん、大丈夫かな……?」


 外の風が浴びられる玄関口で、掻いた汗を上等なタオルで拭いつつ、日菜子は少し不安そうな表情で呟いた。

 それは、日菜子の近くで同じようにして休憩していた戦う召喚者の七名の気持ちの代弁だ。


「うん……ソフィアさんが危険だって言って王国あっちに帰ってから、もう三日経つもんね」

「なるべく早く帰ってくるって言ってたけど……」


 日菜子の言葉に同意するようにして、佐伯雪菜と木村舞が胸に抱く不安を零す。

 大切なものの有難味ありがたみは失ってから気が付くとよく言うが、日菜子たち戦う召喚者にとってラティーフという存在がまさしくそれだった。

 正確には失ってなどいないが、それでも今まで一番近くで自分たちのことを守り、成長を見届けてくれていた兄貴分のような人物がいなくなるだけで、こうも不安になるとは思ってもみなかった。

 異世界という未知の場に放り出され、命を失うかもしれない場所へと飛び込もうと言う不安が、そうさせたのだろう。


「大丈夫だよ、お前たち。ラティはこの世界で一、二を争うくらいの猛者だ。きっと、少し手間取ってるだけで、もうすぐにでも返ってくるさ」

「龍先生の言う通りだ。ラティさんならちゃんとソフィアさんも助けて、めちゃくちゃ軽いノリで戻ってくるよ」


 龍之介が先生おとならしく日菜子たちの不安を払う。

 それに翔も同乗して、誰でも簡単に想像の付きそうな未来を口にした。

 翔の言葉で、召喚者の輪に笑みが溢れる。


「ふふっ、簡単に想像できるね」

「うん。不思議なくらい違和感がないや」

「そうね」


 日菜子が、雪菜が、舞が、口々に翔の言葉に同意する。

 ほんの数瞬前まで不安で重くなっていた空気が嘘かのように、明るい雰囲気が辺りに流れていた。


「おーい。もうすぐ再開するってよー……ってみんなどした? そんな笑顔で」


 そこへ空手部の萩原良也はぎわらりょうやが開けられたドアからひょっこり姿を現した。

 平均よりも高い身長と大きい体格を持っているが、その性格は穏やかで、どちらかというといじられキャラとしての立ち位置をクラスでも確立している。


 良也の後ろにはクラス委員長の斎藤佳奈美さいとうかなみの姿がある。

 手入れの行き届いた綺麗な黒髪を後ろで一つにまとており、剣道少女を想起させられる見た目をしている。

 尤も、当人の運動能力は悪くないが、剣道の経験はない。

 見た目通りの真面目さを持つと同時に、冗談を言ったり乗ったりもできる親しみやすい性格をしている。


 良也も佳奈美も向上心が高く、翔たちが休憩していたこの時間も、ラティーフがいない代わりに一緒に鍛錬してくれている共和国の軍の人に色々と質問をしていた。


「いいや、ちょっとな」

「えっ、何だよ、俺たちだけハブかよぉ!」


 翔は少し含みのある言い方で疑問を躱し、良也はそれに対して抗議の声を上げる。

 怒っているわけではないのは、その尖らせた口と困ったように曲がった眉、そして良也の優しい声音が語っている。


「あとでちゃんと話すから。ほら、早く行こう。ラティーフさんのおかげで共和国の軍の訓練に混ぜて貰えてるんだから、待たせちゃ悪いって」

「むっ……後でちゃんと教えてくれよ?」

「わかってるって」


 翔が珍しく人を弄る姿を尻目に捉え、それに笑みを零しつつ日菜子は訓練場へと戻った。






 気合の篭った吐息と呼吸が、その空間に響く。

 それと同時に鋭い風切り音も鳴り、それは軽い打撃音へと変換される。


「シッ!」

「こ、んのッ!」


 隼人の鋭く重い剣戟を受け止め、翔はそれを押し返し早さ重視の一撃を繰り出す。

 その一刀は隼人にはかすりもせず、逆に背後を取られた。

 そのままがら空きの翔の背中へと一撃を叩き込もうと右手に握る木剣を振り上げる。


「っと」

「――助かった!」


 しかし振り下ろす直前、右脇腹へ岩の弾丸が飛来し、その一撃を阻止する。

 それを為した日菜子へ短く感謝の言葉を述べ、跳躍し岩弾ストーンバレットを躱した隼人へ追撃を叩き込む。

 翔の猛攻にタイミングを掴めず、防御に徹するしかできない隼人へ、翔は至近距離から風の魔術を発動させ、文字通り隼人の足を掬う。

 自身の体を支える足が宙へ浮き、強引に体勢を崩された隼人は真上から叩き込まれる翔の重い一撃を、冷静にことで回避する。


 だがその跳躍した先へ、日菜子の不可視の風弾エアバレットが迫り、気が付く間もなくそれを顔面に食らう。

 足を掬われたときよりも驚き、同時に思考を搔き乱され、隼人は空中でパニックに陥る。

 それを翔が見逃さず、最速で隼人の元まで跳躍し、早い剣戟を叩き込む。

 翔の一撃を防御できず諸に受けた隼人は、重たい音を響かせながら地面へ叩き落された。


 実線を想定し作られたその訓練場は地面が砂利や土などでできているため、叩きつけられた時の痛みは畳よりも大きい。

 勢いよく地面に叩きつけられたことで砂煙がモクモクと立つ中で、隼人がムクリと起き上がる。


「いってー……」


 晴れた砂煙の中、隼人は少し顔をしかめ、強く殴打した背中を擦っている。

 そこへ翔が歩み寄り、心配と申し訳なさを合わせた表情で手を差し出す。


「ごめん。大丈夫か?」

「大丈夫。前よりも一撃が重くなっててびっくりしたけどね」


 翔の手を借りて、隼人は立ち上がる。

 地上数メートルから叩きつけられたとは思えないほどに元気な隼人の元へ、重たそうな甲冑に身を包んだ三十路くらいの男が歩み寄る。

 黒よりの茶髪を短く切り揃え、穏やかな顔立ちに鋭い雰囲気と眼力を併せ持つ、不思議な男だ。


「無事かな? 隼人様」

「ええ。闘気を纏えなければ死んでいるところでした」

「そうですな。隼人様は召喚者様方の中でも一二を争うレベルで闘気の扱いが上手い。まだ防御にしか使えていないようですが、いずれ攻撃にも応用できるようになればもっと強くなれるでしょう」

「……鍛錬します」


 隼人の言葉に、甲冑の男は満足そうに頷いた。

 そして今度は翔へ視線を向ける。


「翔様は隼人様ほど闘気の扱いが上手くないですが、それを差し引いてもお釣りのくるくらい魔力との合わせ技が素晴らしい」

「ありがとうございます、カンタローさん」


 甲冑の男――カンタローはそれにも笑みで頷く。

 カンタローは共和国におけるスートと呼称される軍隊の中で、スペードという、いわば騎士団のような役割を持つグループを纏める男だ。

 ちょうど、ラティーフと同じ立ち位置にいると言えばわかりやすいだろう。


「本来、前衛で戦う者は闘気を、後衛で戦うものは魔力を、と予め住み分けを行うものですが、翔様の恩寵と闘気の才能を考えればその選択も十分ありですね」

「前衛と後衛で住み分けを行うのは、後衛が攻撃の源としている魔力を不用意に消費しない為、でしたか?」

「その通りです、日菜子様。闘気は消費するものではありませんが、魔力は消費するもの。前衛に立つものは基本的に闘気を扱えるので、後衛の援護を十分に受けるためには魔力を使わずに闘気と技術で戦うのが鉄則なのです」


 カンタローが丁寧に説明してくれるのを、日菜子たちは一言一句聞き逃すまいと耳を傾ける。

 その様子を穏やかな笑みで眺めつつ、カンタローは日菜子たちの後ろへと視線を転じる。


「龍之介様方も、聞こえていましたか?」

「はい。ちゃんと聞えていました」


 急に話を振られたが、龍之介は冷静に返事をする。

 その周りにいた良也たちも、うんうんと頷いて龍之介の言葉を肯定する。


「それはよかった」


 カンタローはまたもや笑顔を見せた。

 こんなにも笑みを絶やさない優男のカンタローだが、戦闘になると人が変わったように獰猛な表情になる。

 初めて見た時は怖いと思ったほどの豹変ぶりに、思わず二重人格を疑ったくらいだ。

 龍之介曰く、平時と戦闘時の意識の切り替えとして、意識的に人格を変えているのではないか、とのことだった。

 今の笑みを浮かべているカンタローも、戦闘時の怖いカンタローも、どちらかが嘘だとは思えない。

 尤も、その真偽を本人に聞くのは怖いので、真実は永遠にわかることはないだろう。


「カンタロー! コージ首相より伝言!」

「どうした!」


 そこへ、訓練場で行われている訓練の中でも掻き消されないほどの大きく通る声で、カンタローの名が呼ばれた。

 その名を呼んだのは、スートにおいてクラブの纏め役を務めるショータだ。

 こちらはアヌベラと同じ立ち位置で、魔術を主に扱っている。

 冷静沈着を座右の銘にし、滅多なことでは驚かないショータが珍しく慌てていることから、その伝言が火急のものだとすぐに断定し、周りで訓練中のスペードの人員にもそれが伝わるように、大きな声で返事する。


「吸血鬼族の長より伝令! 魔王軍が動き出した」


 その言葉に、カンタローもスペードの人員も、日菜子たち戦う召喚者たちも、全員が驚きに飲み込まれた。






 * * * * * * * * * *






「――きっつぅ!」


 ぜぇはぁと肩を上下させ息を切らしながら、工藤幸聖は苦し紛れにそう呟く。

 葵の卒業試験を見てその鮮烈さに心を打たれ、しかし自分と幼馴染の女子二人を命の危険から魔も釣るために戦わないことを選んだ賢い少年。


 そんな少年はひと月ほど前、葵に取引と言うのも烏滸おこがましい強引な選択を迫られ、選ばされた道を文句も言いながらも、自分で考え行動している。

 最初は葵に敷かれたレールの上を歩いていたが、元々やると決めたことは曲げない性格だったのが幸いし、今では元戦わない召喚者たちを纏める役割を担っている。

 そして現在、幼馴染の摩耶と愛佳の二人と組んだスリーマンセルでの戦闘において、騎士団魔術師団のスリーマンセルと対等に戦えるだけの戦闘力を身に着けている。


「文句を言いつつもしっかりと最後までこなすあたり、素晴らしいですね。他の方も、自分にできることを極めようと考え動いていらっしゃる」


 地球にいたころから運動能力は悪くなかったし、召喚者としての身体能力の向上も相まって、戦う召喚者の最初よりも速いペースでの成長を見せている。

 それは幸聖、摩耶、愛佳の三人に限った話ではなく、こんなに強くなるならもっと前から訓練してればよかったと後悔する人もチラホラいるくらいには、才能に溢れた人間が多くいた。

 もちろん、成長度合いが思ったほどでもない人もいるが、それが当然だと割り切って、自身にできることを最大限発揮できるようにしようと前向きに直走ひたはしっている。


「……ところで、翔たちは大丈夫なんですか? ラティさんが帰ってきてからずっとこっち居ますけど」


 訓練場の畳にへたり込んでいる幸聖の隣に爽やかな笑みを浮かべ、同じウォーミングアップくんれんをしているはずなのに汗一つ書いていない細身の騎士――副団長のサラーフ・モジブからタオルを受け取りつつ、感じている苦しさを少しでも紛らわそうと問いを投げる。


「ああ、そちらはご心配なく。共和国の軍の方にお任せしているとのことなので心配はないでしょう」

「そうなんだ」


 普段は飄々ひょうひょうとしているが、やることはしっかりやっていると騎士団員の中でも評判なラティーフだからそこまで心配はしていなかった。

 本当に、今感じている苦しさを紛らわす為だけの質問なので、自分から聞いておいたくせに返事がおざなりになっている。


「なになにぃ、あっちに気になる人でもいるのぉ、幸聖ぃ?」

「そんなんじゃないよ。ただ頭に浮かんだことを聞いただけ」


 そこへボブの茶髪を揺らし、口元に手を当てながら、幼馴染の愛佳が悪戯な笑みを浮かべつつそう訊ねてきた。

 嫉妬も悪意も何もないのがわかるだけに、その純粋な意地の悪さに辟易しつつ、いつも通りの愛佳にいつも通りのおざなりな返事をする。


「ほら、愛も疲れてるでしょ。幸聖にアホみたいなこと言ってないでちゃんと汗タオルで拭いて、水分も取りな」

「アホみたいって失礼な!」

「実際、私よりもアホでしょ」

「ウッ……ところで幸聖、今日はなんでラティさんいないの?」


 同じく幼馴染の摩耶が、髪と同じ色の黒い瞳を眼鏡の奥から覗かせながら的確に愛佳の弱点を突いた。

 明らかに都合が悪くなり、愛佳はそれから逃れるための話題転換を行った。

 しかし愛佳のそれは自ら墓穴を掘る結果となる。

 なぜなら――


「――愛。今のウォーミングアップの前にラティさんは急用で外すことになったってサラーフさんが言っていたじゃない。本当にバカなのね」

「アホからバカになった! 摩耶ちゃん酷い!」


 召喚時から状況が変わり、自らの命を危険に晒しに行くための訓練をしている最中だと言うのに、地球にいたころと変わらない会話を繰り広げる。

 それに和まされつつ、幸聖はサラーフから貰ったタオルで汗を拭う。


「それにしても、幸聖さんは随分と伸びが早いですね。何か目標でも?」

「……ええ、まぁ」

「なるほど。目標や目的があると、そこに至るためにどうすればいいかを考えますからね。上達の近道を自ら導いて行っているとは素晴らしいです」

「それは……どうも」


 目指している場所がヒーローという曖昧で、高校生にもなった男子が持つには少し幼いとも言える夢だから、何とも言えない気持ちでサラーフの言葉に頷く。

 その会話を聞いていた愛佳が再びニヤニヤとした顔で幸聖を眺め、摩耶も笑いを堪えるように肩を震わせている。


「おいこら。文句があるなら聞いてやるぞ」

「いんやぁ? べっつにぃ?」

「えぇ……フフッ。何でもないわ」

「よし、お前らぶっ飛ばしてやる」


 幸聖がウォーミングアップの疲れも忘れて立ち上がり、拳をパシパシと打ち鳴らしながら、二人へと歩み寄る。

 明らかに嫌と表情で語りつつも、幸聖が羞恥心から怒りへと転じた理由は自分たちにあると理解しているので、愛佳も摩耶もそれに応じる。


「でもいくら幸聖が強いからって私たち二人を相手にして勝てるかなぁ?」

「さぁな。やってみなきゃわかんないだろっ!」


 言い終える寸前に駆け出し、まずはテンパりやすい愛佳を標的にする。

 女子で幼馴染とはいえ、幸聖がちゃんとぶっ叩いてくるのを愛佳も摩耶も知っている。

 もちろん全力で殴ることはないが、手加減されていても叩かれると痛いのだ。

 だから全力で応対する。


 直進してくる幸聖に向けて愛佳は視界を奪うのも含めて水弾ウォーターバレットを撃ちつける。

 それを拳で破壊し、飛び散る水飛沫を無視しながら構わず愛佳へと直進する。

 握った右の拳を届かせられる間合いまで近づこうとして、背後に散らされたはずの水飛沫が静止し、小さな水の槍となって幸聖へと牙を剥く。

 それを愛佳の視線から何か来ると察し、咄嗟に上に跳躍することで躱す。

 その正体が摩耶の得意な精密な魔力操作による不意を突いた一撃だと悟り、持ち前の嫌なところを突いてくる部分を内心でけなしつつ褒める。


 上へと跳躍した幸聖は、宙で方向転換する術を持たない。

 そこを愛佳は冷静に突く。


 物理的な威力が一番高い岩弾を選択し、並列で十個生成する。

 それをプロ野球選手のストレート並みの速度で射出する。

 空気抵抗を考え、新幹線の先頭車両のように滑らかに作られた岩弾は、初速のまま幸聖へと叩き込まれる。

 しかし避ける術がない幸聖は、敢えてそれを一身に受け、そのまま自由落下する。

 幸聖に岩弾が効いていないことを理解したころには既に幸聖の間合いに入っており、愛佳の頭へ威力を調整したチョップを叩き込む。

 あでっ、と痛みを訴える声を上げた愛佳を無視して、“身体強化”を駆使した身体能力で素早く摩耶の正面を取り、チョップを額に入れる。


「幸聖さんの勝ち、ですね」

「負けたぁ」

「……」


 愛佳は負けたことの悔しさを声と態度に出し、大の字を描いて訓練場に寝転んだ。

 摩耶は無言で口を尖らせて、不服を態度に表す。

 尤も、負けは負けだとわかっているから、下手なことは何も言わない。


「幸聖、岩弾痛くなかったの? めっちゃ食らってたけど」

「闘気ですね?」

「その通りです。サラーフさん」


 愛佳の疑問に、その戦いの一部始終を眺め、終わりの合図を取ってくれたサラーフが、幸聖に問いかける形で答える。

 その答えを聞いて、愛佳は疑問符を頭上に浮かべる。


「とうき?」

「あれよ。魔力を私たち魔術を使える人が使うものだとしたら、闘気は近接戦闘を行う人がつかうもの」

「めちゃくちゃ噛み砕いてるけど、まぁそんな感じ。防御に使ったり、攻撃に使ったりできる便利なやつ」


 摩耶と幸聖の言葉に、サラーフは頷く。

 説明としては若干曖昧さが残るが、別段間違っているとも言えない程度なのでスルーしてくれたのだろう。


「いいなぁ。私も使いたーい」

「……魔力を使う人と闘気を使う人を分けるのが定石って闘気を習った時に教わった――って、闘気を知らない愛じゃ知らないか」

「摩耶ちゃん酷いよ! そんな棘のある言い方!」


 相変わらずギスギスになる二人を眺めつつ、まだ大戦まで時間があるし問題ないかな、と少しだけ心に余裕ができる。

 そこへ、珍しく真剣な表情のラティーフが訓練場の入り口に現れた。


「サラーフ! 魔王軍が動いた。全員集めろ」

「――! 了解!」


 サラーフだけじゃない、その場にいた騎士団員も、元戦わない召喚者たちも、全員を驚愕させる事実だけ告げて、ラティーフはその場を去っていった。

 サラーフは指示通り全員に指示を送り、この場にいない者への伝達も迅速に命じた。

 その最中、幸聖は驚きを胸に、受け取ったその情報を頭で処理する。


「――愛佳、摩耶」


 ラティーフの驚きの伝言で可愛らしい言い合いを辞めていた二人に呼びかける。

 それを受け、驚きで固まっていた二人は幸聖の方を振り向いた。

 信じられないと表情で語っている二人へ、幸聖は覚悟を決めた表情を向ける。


「行こう」


 その言葉を受け、緊張と恐怖を表情に併せ持ちつつ、しかし二人はしっかりと頷いた。



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