第441話 高橋君の聞いた怖い話~サッカー部の寮 中編その1~

寮生活をして一週間。親元を離れての生活は苦労するだろうと思っていましたが、以外にも何とかなり、矢板君と丸山君とも仲良くなりました。

特に矢板君はとても良い人で、毎晩の料理を担当してくれました。

「ギャハハハハ!こいつの料理はもうプロ級じゃね?なぁ小森!」

「うん!本当に美味しいよ。」

「うっせーな!黙って飯も食えねぇのかよ!」

「照れんなよ矢板!」

「うっせー!」

そんな話をしていた時です。

同じ新入生の一人が退寮しました。

理由を聞いても何も言わず、逃げるようにいなくなったのです。

「何であいつ、居なくなったんだろうな。」

「知らね。ま、別段仲良くなかったし良いんじゃねぇの?な、小森。」

「でも気になるよね。こう・・・言っては悪いけど、最初の頃と雰囲気違ったよね。入ってきた時は何か強さそうな雰囲気だったけど、最後はその・・・怯えてたような気がする。」

「気のせいじゃね?」

この時は深くは気にしませんでしたが、後日、彼が交通事故に遭ったという話が耳に入ってきました。


「軽傷だったらしいな。」

「そうらしいけど、やっぱあの寮が関係してるんじゃないかなって思うんだ。」

「ん~でもよぉ、別に俺らは平気じゃね?」

「たまたまかもしれないじゃないか。それに最近他のみんなの様子が変なんだよ。」

「様子が変?具体的にはどういう風にだ?」

「気のせいかもしれないけど、一人で行動しているところを見なくなったような気がする。」

「そうだったか?」

「言われればって感じじゃね?でもそれだけじゃ変って感じじゃないっしょ。」

「でも、なんかみんな怯えてるように見えるんだよ。」

「なら話を聞いてみよう。それが一番賢い。」

そう言うと、矢板君は一人捕まえてきました。

「ぼ、ぼ、僕に、な、何か、よ、用、かい?」

目に見える同様に何だか気の毒になってしまい、僕は二人から離れて話を聞くことにしました。

「えっと、なんか知らないかな?なんか最近の寮内って変な気がするんだよね。」

「あ、あの、知らないんですか?」

「何を?」

「幽霊がいるって噂ですよ。」

「幽霊?あの寮に?」

「厳密に言えば、寮ではなく両近くの林にです。」

「あの裏にある林?」

「そうです。毎晩窓からあの林を見ると、女の人がヒタヒタと歩いてくるんです。まるで僕の部屋を探しているように・・・。」

違和感を感じました。目の前で話してくれている彼の部屋からは林は見えないからです。なのに、まるで自分が見ているように彼は話しているのです。

「君も気を付けたほうが良い。僕も近々この寮を去るよ。」

そう言い残した彼は翌日腹痛を起こし、入院することになった。

原因は食中毒だと聞きました。でも、みんな同じものを食べているはずなので、おかしな話なのです。

「ふ~ん。女の幽霊ね~。」

「そんな奴見たことあるか?」

「僕はないね。」

彼から話を聞いた後、他の寮生にも話を聞き、同じような話を聞けました。

やはりみんな同じことを言いました。林から女が歩いてくると。

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