第414話 式子さんの怖い話~ 嘘だろ・・・。後編~
「やっぱおかしいって!」
「どこがだよ?」
「いやそれは・・・こう、何て言うか変だろ?雰囲気的な何かがさ。」
「いや別に普通じゃん?いつもあんな感じだろ?」
「いや絶対に変だって!目だってなんかボーっとしてるみたいじゃん!」
「いつもあんな目だったと思うんだが?」
TがAに何度もおかしいと言っても、Aは全く気づきませんでした。
そんなやり取りを一時間程繰り返していると、Yはすっと立ち、駐車場に向かって歩き始めました。
慌てたTとAはすぐにYに駆け寄り、肩を掴んで止めようとしました。
だが、異様な力強さでYは歩みを止めません。
「ちょっ!?何だこれ!?」
「だから言ったろ!なんか変だって!」
「マジでヤバくね!!?」
何とか止めようと必死に抵抗するが、Yは止まる気配がありません。
ズルズルと引きづられながらTとAは車まで戻ってきたのです。
そして何も言わずにYは車に乗り、エンジンをかけたのです。
「ど、どうするよ?」
「どうするって帰れるわけないじゃん!Yがおかしいのはもう明白だろ!」
「だよな。こんな状態で車に乗って何も無いなんてなさそうだし。」
「どうするんだよ!!?」
「どうするって言われてもなぁ・・・。」
「お前がここに行こうなんて言わなければこんなことにならなかっただろ!!?」
「ハァ!!?ふざけんなし!俺だけのせいかよ!!」
「お前が来たいなんて言わなければこんな所に来なかっただろ!!?」
「ふざけんなって!!俺だけのせいにするなよな!だったらお前だって全力で俺を止めろよ!!」
「ハァ!!?」
言い合いをしていた時です。
遊園地の方から「お~い!」と、聞こえてきたのです。
2人が遊園地の方を見ると、Yが焦った様子で走ってきたのです。
「「・・・は?」」
2人は意味が分かりませんでした。車に乗っているのもYで、走ってくるのもY。
混乱する2人を余所に、珍しくYが怒っていました。
「置いてくなんて酷いよ!一人でお化け屋敷歩くの怖かったんだよ!!?」
「え?え?ええ!?」
「ちょっ!?は!?ま?」
気が付くと、車のエンジンはかかっておらず、運転席にも誰もいませんでした。
あれはいったい何だったのか。そして目の前にいるYは果たして本物のYなのだろうか?
「と、いう話さ。」
「つまり幽霊がYさんに成り代わっていたってお話ですか?」
「詰まる所そう言うことさ。だから私自身、どうやって私であると証明しようか考えていたんだよ。」
式子さんが2人か。想像しただけでかなり胸が熱くなる展開だけど・・・言わないでおこう。
「私が2人は嫌だなぁ。優君の取り合いではないか。」
・・・もはや心を読まれることに対して何も感じない自分にゾッとするよ。マジで。
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