第413話 式子さんの怖い話~ 嘘だろ・・・。中編~
それは山奥に突然と姿を見せました。
程ほどに広い駐車場。古くなって崩れてしまった入口。年季を感じさせる遊具の数々。そして、言い知れぬ暗い雰囲気。
心霊スポットに興味のあったAは気持ち悪いぐらいキラキラした目を廃遊園地に向けていました。
「マジであったじゃん!?すげぇぇ!!」
「うわ~いかにもって感じだな。」
「早く入ろうぜ!!」
「ちょっ!?」
Aは走って行ってしまいました。
「どうするよY?」
「まぁ、いいんじゃない?」
Yも若干乗り気だったため、Tも渋々中に入ることにしました。
中に入ると、廃墟特有の匂いが漂い、人気を全く感じさせませんでした。
「こっちだこっち!」
2人はAに言われるがままにメリーゴーランド、観覧車、コーヒーカップ等々。
欲遊園地にある遊具を見て回りました。
そしてAはあそこに入ろうと言い出したのです。
「お化け屋敷って・・・大丈夫かよ?」
「別に大丈夫だろ!見たところ崩れてねぇし、それに本物のお化けに会えるかもしれねぇじゃん!」
「バ~カ。いるわけねぇだろ。」
「ビビんなって。」
「ビビってねぇよ。単純に崩れてこねぇか心配なだけだ。」
「大丈夫だって!ほら!」
Aは入り口近くの柱を蹴りましたが、全く動じてません。
「な?」
「わかったって。だから蹴んな!」
言われるがままに2人はAの後に続いてお化け屋敷を通りました。
過去には驚かせてくれたであろう人形たちも、今では全く動きません。
拍子抜けするぐらい順調に進み、10分も経たずに出口に着きました。
「な?ただ暗いだけだろ?」
「ま、そりゃな。」
「Yも平気だったろ?」
「うん・・・。」
「そんじゃ帰ろうぜ。もうここには用はねぇだろ?」
「あ~こんな体験しちまうとマジの心霊スポットに行きたくなるぜ。」
「バ~カ止めとけ。呪われたら周りに迷惑だろ。」
「それもそうだけどさ~行ってみたいじゃん?」
「俺は嫌だね。」
「ちぇ~。」
「ん?どうしたY?」
Yはボーっとした目をしていました。
いつもAとTのやり取りをニコニコ見ているはずなのに。
Tはどこか変な気がしました。
「なぁ。なんかY変じゃね?」
「そうかぁ?いつもあんま喋んねぇし、こんなもんだろ?」
「いやなんつうかさぁ。」
「おいY!起きてるかぁ?」
「うん・・・。」
「大丈夫じゃん?」
「そ、そうか?Y、本当に大丈夫か?」
「うん・・・。」
「眠いのか?何だったら休むか?」
「うん・・・。」
様子がおかしいと感じたTは近くのベンチにYを座らせました。
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