第411話 柑奈さんの怖い話~土下座の謎 後編~
責められ続けた父は、観念したようにぽつりぽつりと話し始めました。
昔、まだ祖父母がこの家に住み始める前。
つまり父が産まれる前のこと、祖父は良い所の生まれで、祖母と共にかなり広いお屋敷で暮らしていたんだそうです。
祖父母はお見合い結婚ではありましたが、互いに一目惚れで、すぐに子宝に恵まれました。その子がM子という女の子だったそうです。
M子はとても可愛がられて育てられました。特に、祖父の父は猫可愛がりだったそうです。
そんなある日、祖父母とM子が河原へピクニック行った日です。
若かった祖父母はM子が一人で遊んでいるのに気を許し、一目も気にせずに愛し合ってしまったそうです。そして、事件は起きました。
家に帰ろうと、M子を呼ぼうとした時です。辺りにはM子がいなかったそうです。
慌てた祖父母はM子を探しましたが、見つかりませんでした。
結局、村のみんな総出で探し、M子は見つかりました・・・遺体の姿で。
激高した祖父の父は祖父を殺す勢いで殴り続けました。
『この人殺しがあぁぁぁぁぁっっ!!!!』
祖父の父だけではありませんでした。親戚一同が祖父母を責めたそうです。
辛くなった祖父母は逃げるようにこの家に引っ越してきたんだそうです。
「最近になって、親父が俺に言うようになったんだ。『M子がワシに会いに来る。きっと恨んでいるに違いない。ワシはM子に償い続けなければならないんだ』と。でもおかしいだろ?死んだ人間がどうやって会いに来るって言うんだ?幽霊じゃあるまいし。」
父の言葉に納得する親戚もいれば、「きっとM子ちゃんは怒っているんだわ。」と言う親戚もいました。
結局、この家は売りに出すことになりました。呪われているかもしれないこの家に住みたいという親戚は誰もいなかったのです。
お坊さんにお願いし、売る前にきちんとお祓いをすることになりました。
お坊さんは「確かにいるなぁ。特にここに強くいるな。」と、祖父母が無くなった寝室でつぶやいていました。
お祓いが終わった後、気になった僕は父にM子の写真を見せてもらいました。
「・・・え?」
そこに映っていたのは、白いワンピースに麦わら帽子、サンダルという恰好の肌が真っ白で日に焼けていない女の子でした。
「と、いう話よ。」
「なるほど。柑奈さんのお父さんもしっかりと仕事してるんですね。」
「そうなのよ。あのクソジジィが・・・って!そうじゃないでしょ!!」
「あ、すみません!つい本音が・・・。」
「本音が。っじゃないわよ!!いくらクソジジィでも仕事ぐらいちゃんとやってるわよ!」
ですよね~。てか、こんなに真剣に怒るってことはなんだかんだ言ってもやっぱり柑奈さんもお父さんのことが・・・。
「あ゛?」
「この話はきっと主人公がM子ちゃんと・・・。」
秘儀!話を逸らして有耶無耶にする術!!
てか、何でこの学校の女性は人の心を読めるのぉ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます