第395話 柑奈さんの怖い話~瞬間移動する車 前編~

「・・・。」

「・・・。」

え?何この妙な緊張感?え?

「・・・ど、どうでありマスか?」

「ふむ。今日はここまでにしよう。」

「や、やったー!でありマス!」

「まだまだ課題は山積みだ。明日もこの調子でしっかりやるんだぞ。」

「わ、わかってるでありマスよ~。フヘヘ。」

「ようやく終わったの?」

待ってる間暇すぎて今日の宿題と復習を終わらせてしまった。

「ああ。さて、今日の活動をしよう。本日の話し手は・・・。」

「はい!あたしが話したい!」

お?今日は柑奈さんか。

「よかろう。では、柑奈が話し手だ。」

「じゃあ時間も時間だから早速話していくわよ!これはとある女性か聞いた話よ・・・。」

あ、神楽坂さんはここでもスルーなのね。


私には推しのアイドルがいる。

心霊系アイドルのOちゃんだ。

彼女は最初千夏アイドルとして売れない日々を過ごしていた。

けれど、彼女はなんとなくの気持ちで話したオカルト体験がウケて、どんどん人気が出てきた今最も勢いがあるアイドルなのではないだろうかと、私は思っている。

そんなOちゃんのライブに参加した日のことである。

「今日は~Oちゃんが聞いた話にするね!」

今日はどんな話が聞けるんだろう。そんなワクワクな気持ちでいると、驚くことを聞くことになったんです。

「これは某県の○○○○トンネルで起こった出来事なんだけどね。そこに肝試しで行った・・・。」

そう、私の住んでいる家の近くが舞台だったんです。

この話を聞いた私は、その後のライブが耳に入らず、ずっと○○○○トンネルのことを考えていました。

行ってみたい。けど、一人じゃ怖い。そんなことを考えていた時にタイミングよく幼馴染の女友達二人から心霊スポットに行ってみないか?と、誘われたのだ。

このチャンスを逃してはいけない。そんな思いを胸に私は運転を友達に任せ、カメラ片手に○○○○トンネルへ友達と共に向かったのです。

「っと!どうやら車はここまでのようね。」

「なんか雰囲気ある~。」

「この先に○○○○トンネルがあるの?」

「うん。調べてきた地図を見てもあってるし、Oちゃんが話していた場所にも似てるから間違いないよ。」

「じゃ、ここからは徒歩ね。さ、降りましょう。」

車を停め、真っすぐの一本道を歩くこと数分。

私の目の前に○○○○トンネルは姿を見せました。

ドキドキとワクワクを胸に、期待していた○○○○トンネルは異様な雰囲気も嫌な感じもしない。ただただ暗いだけのトンネルでした。

「ここがそう?」

「なんか地味~。暗いだけって感じ~。」

「本当にあってるの?」

「あ、あってるよ!ここの中を歩いていると、真ん中ら辺に女の子の幽霊が座ってるって・・・。」

「う~ん・・・ま、とりあえず歩いてみよっか!」

半信半疑の友人二人と共に、私は○○○○トンネルを抜けてみることにしたのです。

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