第364話 百物語合宿~お題:学校の怪談 中編その2~

「続いてはここ。生物室だ。この部屋では夜な夜な奇妙な声が聞こえるとか。」

「夜な夜なですか。では、今のこの時間では意味がなさそうですな。」

「ですね。まだ四時ですから。」

「だが、何かしらの原因究明は・・・。」

「おや?君たち。」

「あ、先生!」

「こんにちは。こんな所で何をしているのかな?」

「いやその・・・。」

「先生!私たち学校の七不思議について調べているんです。それでこの生物室から夜に声が聞こえるって。」

「あ~それは・・・きっとこの子のことかな。」

「あ、それは・・・。」

「うわ~!可愛い!」

「キュキュ?」

「実はこのリスさんが怪我をしていてね。ここで面倒を見ているんだ。ふふっ。内緒だよ。」

「は~い!」

「・・・ここも関係なと。ですねK氏。」

「つ、次!」


「ここは夕方になると数が変わる階段だ。」

「ここって・・・。」

「屋上に続く階段ですな。」

「うむ!ここは信憑性が・・・。」

「それで元々は何段なんですか?」

「・・・。」

「K氏、まさか・・・。」

「次、行ってみよう!!」


「ここは校庭の用具倉庫。ここでも時折うめき声が・・・。」

「喘ぎ声の間違いでしょう。次行きましょうか。」

「ちょ!?おまっ!?」

「あの喘ぎ声ってどんな声ですか?」

「うん?B氏は知らないのか?喘ぎ声というのは男女が・・・。」

「うわあぁぁぁぁぁぁぁっ!!?次!次行ってみようか!!」


「ここはだな・・・。」

「ここは自分も知っていますな。確か・・・そうそう。保健室の動く人体模型でしたな。」

「それがこれですか?」

『・・・。』

「特に変わった様子はないですけど・・・。」

「ここもハズレと。次行きますかK氏。」

「・・・私、だんだんと自信が無くなってきたかも。」


その後も噂は所詮噂。

何処かしこに行っても、心霊現象など確認できず、結局は誰かの勘違いから始まった噂話。

そう結論付けたのです。

もちろん私は納得できなかった。

だから最後に、あの場所に行ったのです。

「結局、この学校に七不思議など存在しないのですよ。どの学校にも七不思議は存在するわけではありません。所詮はフィクションです。」

「とても残念ですけど・・・そういうことですよね。」

「さ、最後に!とっておきの場所を紹介しよう!それで最後だから!」

私たちが向かった先は体育館。

ここでの七不思議は過去からやってきた生徒というもの。

「見たことの無いジャージ姿の女の子が、一人でバスケットボールを練習しているというものなのだ。」

「そんな女生徒は見えませんが?」

「というよりも誰もいませんよね。」

「どうやら・・・そのようだな。」

自信のあった七不思議の話しも所詮は噂。

結局この学校に七不思議などない。

そう、思った時でした。



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