第363話 百物語合宿~お題:学校の怪談 中編その1~

あれは、五月頃だったと思う。

いつも楽しそうに私が持ってきたDVDを見ていたBさんが、終始心ここにあらずっという感じだったのだ。

もちろん私は全く気付いていなかったのだが、Aさんが気づいたのだ。

「なぁB氏。今日は何かあったのか?」

「え?」

「む?どうしたのだA殿。」

「聞きたまえK氏。B氏は何か悩みがあると見受けられる。話を聞くべきではないだろうか。」

「何?そうなのかB殿。」

「えっと・・・。」

「ふむ。どうやらその様子では我々に聞きにくいことなのか?」

「何!?おいB殿!遠慮する必要はないぞ!我らはオカルトを通した仲間。どんな些細なことでも構わん!話したまえ。」

「えっと、その・・・。」

「辞めたくなったのか?ならば我々に遠慮する必要は・・・。」

「そんなことありません!先輩たちのこと大好きですし!何よりここには私の知らない世界があるんです!辞める理由なって・・・。」

「では何を悩んでいるんだい?正直、そのような態度はこのDVDに対して失礼に値するよ。」

「それは・・・ごめんなさい。ただその・・・。」

どうやらBさんはこの学校の七不思議について同級生に聞かれたらしい。

それに答えられなかったことが、少し恥ずかしかったようだった。

「その、先輩たちは時期を見て教えてくれるんじゃないかって思いまして。だから私から聞いてしまうのは失礼かと・・・。」

「ふむ。そういうことか。ならばちょうどいいだろう。」

私は中学最後に学校の七不思議全ての解明を目論んでいました。

だからあの時、私は皆で確かめることにしてしまったのです。

「この手帳には私が独自に集めたこの学校の七不思議の記録が書いてある。私はこの中学最後を、この七不思議解明に使おうと考えていたのだ。その仲間に君たちを誘おう。」

「ふむ。なかなか面白い趣向だなK氏。」

「いいんですか!?やったー!」

私たちは私が集めた噂話を元に、学校の七不思議を試すことにしたのだ。


「まずは有名なトイレの花子さん。この学校での目撃例はこの職員トイレだ。」

「普通のトイレですよね?」

「まぁ待てB殿。花子さんがいるのは奥の個室。つまりここだ。ここで、ノックを三回して・・・花子さん、遊びましょう!」

「・・・何の反応もありませんなK氏。」

「私もいいですか?」

「ああ。やりたまえ。」


「お次はここだ。図書館の奥の本棚。ここに呪いの手紙が隠されているのだ。それを発見してしまった者は三人以上に同じ内容の手紙を・・・。」

「これは関係なさそうですなB氏。」

「ですね。不幸の手紙と一緒ですから。」

「・・・つ、次だ!」


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