第322話 百物語合宿~その1~

お盆休みも、はじめ兄さんがちょっとばかりウザかっただけで特に何もなく過ぎ、夏休みも残り少なくなってくる中旬過ぎ。

僕は絶対に乗ることは無いと断言できたはずのリムジンに乗り、待ちに待ったオカルト研究会の合宿に向かっている。

てか、リムジンぱねぇ。

「去年も思ったことだが、この車で迎えに来られると私でも驚くな。」

「いや、式子じゃなくても驚くわよ。」

学校にリムジンだもんなぁ。

「いや~この車しか自由に扱えないもんで・・・。」

お嬢様って怖いなぁ~。

「うんうん。僕も人生でまさかリムジンに乗るとは思わなかったよ。」

うん、当然のように何故か尾口先生がいるんだよなぁ。

「あの~・・・。」

「ん?何だい優君。」

「尾口先生はどうして?部活の方は・・・。」

「うん。実を言うとね、部活の方は問題がなくってね。僕以外にも顧問がいるし。そんな時に君たちが合宿をやるというのを聞いてね。去年は女の子たち3人だけだったから僕は参加を見送ったんだけど、今年は優君が参加するし、万が一のことがあってはならないでしょ。」

「あ~なるほど。」

「チッ。」「チッ!」「チッ。でありマス。」

露骨すぎるだろ。

「ハハハ。そんな邪険にしないでおくれよ。君たちのやることにそんなには干渉しないからさ。それよりもこの合宿は何をやるんだい?」

お?確かに百物語以外聞いてないな。

「百物語をするだけです。」

「それ以外にはないわよねぇ。」

「まぁ、危険なことはしない方がいいでありマスからな~。」

百物語も十分危険なんですがそれは?

「そうかい?なら今年はバーベキューとかもしようじゃないか。僕の方で準備をするからさ。」

「お~いいですね!やりましょうよ式子さん!」

「優君がやりたいならやろう。」

「じゃあやりましょう!柑奈さんも麒麟園さんもいいですよね?」

「問題ないわよ。」

「・・・優殿。」

「ん?何ですか?」

「自分、お願いがあるのですがいいでありマスか?」

何だろう?

「いいですけど・・・。」

「で、では!その、じ、自分も!名前で呼んで欲しいでありマス・・・。」

「え!?」

そ、そんな目で僕を見るなぁぁぁ!

「うえ・・・あ・・・その、千夏、さん。」

「ヌへへ~。はいでありマス!」

恥ずかしい・・・。

「・・・。」

「・・・ケッ。」

二人の視線が滅茶苦茶刺さるぅぅぅ!

「ハハハ!いいね。じゃあ僕のこともじゅうざぶ重三郎と・・・。」

「あ、それは結構です尾口先生。」

「・・・ぐすんっ。」

「お!見えたでありマスよ~。」

あれが麒麟・・・じゃなかった千夏さんの別荘。

想像以上に広さそうだなぁ。




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