第321話 研究成果報告~口裂け女について。終わり~

「・・・そうですか。」

その反応はどっちなんだよ!?

「他に質問はあるかな?無ければ話を戻そう。続いては口裂け女に出会ってしまった場合の対処法だ。仮に出会ったとして、口裂け女から逃げる方法は様々ある。多いのは“ポマード”や“べっこう飴”だな。」

有名な話だよね。

「“ポマード”は臭いが嫌いらしい。だからその言葉を聞くだけで口裂け女は逃げるそうだ。逆に“べっこう飴”は大好物で、与えると夢中になって食べるので逃げれるという話だな。」

「べっこう飴が大好物なんですね。なんだか可愛い。」

「そうだな。口裂け女には他にも様々な特徴のある話があるが、基本的にはこれだけ話せばいいだろう。さて、ここで結論に戻る。私が何故存在しないと言うのか。」

「・・・聞かせてください。」

生徒会の皆さんの視線が式子さんに・・・すごいや。

「一つ目は発祥の件。母親の作り話ということが多いから。二つ目は話が複合されていることが多いから。先程のポマードで言えば、恨み説の口裂け女を手術した医師が付けていたからだそうだ。究めつけは話の統一性の無さだ。有名な怖い話である“トイレの花子さん”はとても統一的だ。だが、口裂け女はそうではない。夕方の電柱、夢の中、電話をかけてくるなど数が多い。」

「それで実在しないと?」

「加えるならばマスクをして包丁を持ち歩いていた女性が捕まったという記録もある。これは口裂け女を真似てとあるが、この記録が口裂け女の尾ひれになった可能性も否定は出来ない。要するに様々な憶測が憶測を呼び、噂が力を持って産まれたのが口裂け女、ということだろう。だから実在はしていなかった。という結論だ。」

「・・・なるほど。」

「最後になるが、こういう口裂け女には他にも“口割れ女”や“二口女”、“マスク男”などの派生した話も存在しているということここに話す。以上で、私たちオカルト研究会の研究成果報告を終わりにする。」

「・・・ありがとうございました。話し合いを設けたいので結果は後日に。本日はお疲れさまでした。」

こうして、僕たちオカルト研究会の研究成果の報告は終わった。

終始緊張続きで、終わった後はトイレに駆け込んだなぁ。

「あれから今日で三日ですか。いつになったら結果が聞けるんでしょうか?」

「さぁな。」

「他の研究会はチラホラ結果が出てるみたいでありマスなぁ。黒魔術研究会は不合格だったそうでありマス。」

何だよ黒魔術研究会って。

「あたしも聞いたわ。ポージング研究会も不合格だって。」

だから何だよポージング研究会って!?

「ま、気にしても仕方がない。私たちは今日も変わらず、怖い話をするだけさ。」

「・・・そうですね。うん、本当にそうですね!」

「ふふっ。では、今日の話しは・・・。」

後日、オカルト研究会は合格通知を貰った。

生徒会長は照れ臭そうに「勉強になりました。」とだけ言い残していった。

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