第304話 高宮君の怖い話~スキマババァ前編~
快晴の午後。
僕は式子さんとオカルト研究会の部室で研究発表の為の資料作りを始めようとしていました。
そう、つまりは何も思いついていません!
「ど、どうしますか式子さん!?このままじゃ発表せずに終わっちゃいますよ!?」
「う~ん・・・こう、なんだろうな。決め手に欠けるんだよなこの候補たちは。」
黒板に書いた発表しようと考えている研究対象の候補たちはどれも見劣りしないと僕は思う。
けれど、式子さんはそうではないらしい。
「まず、トイレの花子さん。これはまとめやすくて説明もしやすいだろう。だが、ポピュラーすぎて新たな情報を話すことが出来ないだろ?」
「それは・・・じゃ、じゃあ!それに関連したものを集めるとか?どうですかね?」
「ふむ・・・ダメだな。あの堅物生徒会長を唸らすことは出来ないだろう。」
「あ!ならトイレの花子さんだけではなくて、学校の怪談にすれば・・・。」
「却下だな。面白みがない。」
面白みって・・・まぁ、この研究会の責任者は式子さんだし、仕方ないか。
「ダメだな。こう、頭が固くなってしまっている気がする。」
「じゃあ休憩にしましょうか?僕、何か飲み物を買ってきますよ。」
「いや、飲み物は部室の冷蔵庫に入れてある。」
いつの間に・・・。
「それよりも優君。私に一つ、怖い話を聞かせてくれないか?その方がリラックスできるんだ。」
「そうなんですか?わかりました。じゃあ怖い話をしましょう。話すからには今日中に研究対象を決めましょうね、式子さん。」
「ああ。もちろんだよ優君。」
「じゃあ・・・こほんっ。これは、男の子が体験した、奇妙な話しです・・・。」
これは俺が小さかったころの話しです。
当時、小学三年生だった俺は、アニメに夢中で、夕方や日曜の朝なんかはテレビに張り付いてずっと見ていました。
丁度、その頃です。
俺が深夜アニメを知ったのは。
夜遅くにトイレで起きた俺は、たまたま親父がつけっぱなしにしていたテレビで、アニメが流れていることに気づきました。
慌ててトイレを済ました俺はテレビを夢中で見続け、毎晩のように深夜にテレビを見るようになってしまったんです。
両親、特に母親は俺のそんな行動をどうにか直したくって、先生や近所のママ友に何度も相談していたそうです。
「ねぇ、あなた。」
「ん?何だよ?」
「Uのことで、ちょっと・・・。」
「ん?」
「最近、Uったら深夜に起きてアニメばかり見てるの。」
「そうなのか?」
「ええ。それで色々先生やご近所さんに相談したんだけどね。」
「お前!?そんなことをか!?」
「だってこのままじゃUに良くないじゃない!」
「そ、それもそうだな。」
母親は相当深刻に悩んでいたそうです。
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