第305話 高宮君の怖い話~スキマババァその1~
「じゃあ!俺が叱ろうか?ここは父親としてガツンと・・・。」
「ダメよ!まだUは小さいの。小さいうちにあんまり叱りすぎると、かえって反抗的に育ってしまうのよ!」
「じゃ、じゃあ!どうするんだ?叱らずにどうやって直すんだよ?」
「ご近所の方に聞いたところね、怖い話を作って、お子さんの悪い癖を直したんだって。だから家もやってみません?」
「怖い話か。なるほどな。恐怖心で悪いことを直す、うん。いいかもしれないなぁ。」
「そ・れ・で。あなたにその役目をお願いしたいの。」
「お、俺が!?」
「だってあなたは高校時代文芸部だったじゃないですか。私よりも想像力はあるでしょ?ね!お願いしますよ!」
「う、う~ん・・・。」
両親が真剣に悩み、生み出された怖い話が“スキマババァ”でした。
「U!」
「ん?なにパパ?」
「Uももう小学三年生だ。そろそろこの話をしてもいいと、母さんが許可をくれたから話そうと思う。」
「なになに?」
「“スキマババァ”って知ってるか?」
「スキマババァ?」
「ああ。スキマババァは悪い子が大好きなんだ。夜な夜な悪いことをしている子供を探しては隙間からこっそりと除き、子供が気づかないうちに食べちゃうんだ。」
「ええ~・・・なにそれ?うそじゃないの?」
「ハハハ!パパも嘘だと思っていた。けど、パパは昔一度だけ見たことがあるんだ。」
「うそだぁ~。」
「うそじゃない。あれは・・・うん、パパがUぐらいの
「ふ~ん。」
「それで、あの日も夜遅くまで大好きなプラモデルを作っていたんだ。完成間近になった時、後ろから音がしたんだよ。」
「う、うん。」
「気になったパパは後ろを振り返って音が何処からしたのか探した。けど、部屋に何かが落ちていることは無かったんだ。ホッとして、プラモデル作りに戻ろうとした時だった・・・窓の外に何か、変なものを感じた。」
「へ、へんなもの?」
「ああ。よく見ると、カーテンは微妙に開いていてなぁ。それが、隙間になっていたんだ。」
「ごくりっ。」
「その隙間をよぉ~く見ると、そこには・・・スキマババァが!!」
「ひゃう!?」
「以来、パパは夜は早く寝るようになった。夜遊びは悪い事だってパパのママ、つまりお前のお婆ちゃんに言われたからな。だからUも夜は早く寝るんだぞ?」
「う、うん!」
この話を聞いた僕は、最初の内は親父の言うことを聞き入れて、早く寝ていました。
けど、だんだん欲求に負けて再び深夜アニメを見るようになったのです。
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