第296話 高宮君の怖い話~探偵の事件簿中編その3~
「あ~あの子ね!いい子よね~。姉妹仲良しで。
「あん子は別嬪でな。将来は安泰じゃろうな~。それに優しい子じゃ。」
「いつもボランティア活動には姉妹で参加してくれたんです。とてもいい子ですよ。」
「あ~・・・自殺した子だよね。ぼ、僕は美人なのになぁって思いましたね。」
彼氏に話を聞いた後、俺は周辺ご近所に聞き込みをした。
だが結果はみんな同じような回答。
悩みはなく、優しくて、とても礼儀正しい良い子。
姉妹仲も良く、姉はとても妹を可愛がっていたそうだ。
「だんだん自殺する動悸が無くなってきたな。いや、むしろ苦痛だったとか?」
動悸は無いのに、状況証拠は自殺。
矛盾してきたことで、俺はこの事件から自殺という線を捨てて考えてみることにした。
だが、それでも殺されるような動機は思いつかなかった。
「あるとすれば彼氏ができたことによる嫉妬だけど・・・ストーカー被害は無いもんなぁ。謎だらけだ。」
聞き込みから得られる情報が無いと判断した俺は事件現場である姉妹の家で調べてみることにした。
庭を念入りに調べたが、誰かが入ったような痕跡はない。
「鍵をこじ開けた後でもあればなぁ・・・って、そんなもん警察もあったらわかってるか。ん~何でこうも綺麗に無いもんねぇ。」
家の内も外も犯人につながる手掛かりはない。
「仮説を立ててみようと思います。」
「仮説ですか?」
調べることが分からなくなった俺はお姉さんに協力を仰ぎ、仮説を進めてみることにした。
「ええ。これから俺は仮説を立てます。間違っている、もしくは疑問がある場合は手を挙げて質問してください。」
「わかりました。」
「では。貴方がお見合いに行った日、妹さんは誰かに会う約束をしていた。その誰かは親しい間柄です。」
「はい。どうして親しい間柄だと?」
「玄関の鍵穴は綺麗で、他にも侵入した形跡がない。と、いことは妹さん自ら招き入れたと俺は考えます。」
「な、なるほど。」
「続けますよ。その人と話しているうちに口論になった。」
「口論に出すか?でも争った形跡は・・・。」
「無かったですよね。でも例えば犯人が複数犯で、妹さんを抑え込んで殺したとしたら?」
「で、でも抵抗の跡ぐらい・・・。」
「ですよね。では、殺した後でそういう痕跡を消したとしたら?」
「それは可能なんですか?」
「時間によりますね。妹さんの亡くなった時間などわかりますか?」
「お昼ぐらいだと・・・。」
「なら、十分可能そうですね。」
「で、でも親しい間柄って?私たちに両親はもういませんし、親戚だって私は知りませんよ?」
この仮説はダメか?そう、考えた時、とある閃きが俺の頭を
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