第291話 式子さんの怖い話~跳ねる頭中編その2~
「・・・は?」
その視線を探すように部屋の中を見回しましたが、そんな訳もなく、結局自分の気のせいだと思い込みました。
「やっぱ心霊スポットに行かないとダメなんかなぁ。」
大学の講義中、友人は何度もあの時に録画したものを見返してはボヤいていました。
「・・・行かねぇからな。」
「そこを何とか!」
「嫌だ!」
「さ、酒を!」
「残念だったな。僕にはお前が残していった物が残ってるんだよ。」
「くぅっ!!」
友人には悪いですが、そんな場所に行って呪われでもしたら嫌だったので断り続けました。
あの日以来、僕はあの交差点に恐怖を感じなくなっていました。
「なんだろ・・・変なの。」
あれほど怖かったのに、今では本当に何も感じないのです。
良いことなんですが、その代わりとして毎晩、あることが起こるようになったのです。
それは深夜だと思う時間です。
(・・・まただ。)
夢の世界から一気に現実に引っ張られ、眠って動いていない僕を、天井から僕が眺めているんです。
(何なんだろ、これ。眠っている僕を見て、どうしろって言うんだ?)
本当にそれだけなんです。
ただただ天井から僕を見降ろしているだけなんです。
そして気がつくと、朝になり、大量の汗を掻いているんです。
まるで、体だけは何かの恐怖を感じているように。
「はぁ~。」
「今度は何だよ?」
またしても講義終わりのため息をついた僕に友人が話しかけてくれました。
僕は、信じてもらえるかどうかわからなかったけど、友人に話してみることにしたのです。
「はぁ!?天井から自分を見降ろしてる!?」
「ちょ!?声がデカいって!」
周りを確認しながら、僕は詳しく話すことにしました。
「ふ~ん。けど、それって普通に考えたら憑いてきてるってことだよな?」
「へ?」
「いやだってこの前から交差点は怖くないけど、変な夢?みたいなもんは見る。誰が聞いたってお前にとり憑いてるって思うだろ?」
「そ、そうかもしれないけど!違う可能性もあるだろ!?だって、その、ほら!怖くないし!」
「それもそうだよなぁ。でもなんで急に交差点は怖くなくなったんだよ?」
「それは・・・何ていうか、何も感じないっていうか。雰囲気も悪い感じしないし。」
「ん~なら、一つ試してみねぇ?」
「な、何をだよ?」
「お前が一番怖がっていたあの花を見てみようってこと。」
友人に言われるがままに僕は、あの交差点の電柱に供えられていた花を見に行くことにしました。
「着いたぞ。どうだ?怖いか?」
「・・・あれ?」
供えられていた花に、恐怖は感じませんでした。
でも、花がこんなに枯れていたでしょうか。
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