第285話 麒麟園さんの怖い話~おじいちゃん。前編~
「では、次は自分が話すでありマス。」
自信満々だなぁ、麒麟園さん。
一体どんな話を・・・。
「千夏君の話しか。想像がつかないね。あ、でもさっきみたいなのは勘弁してほしいなぁ。」
「大丈夫でありマス!少し短い話になってしまうのは申し訳ないでありマスが、感動できるいいお話しなので!保証するでありマス!」
「ふんっ。どうせあたしは怖い話しか出来ませんよ~だ。」
「まぁまぁ柑奈さん。僕は柑奈さんの話し、面白かったですよ。」
「・・・ほんと?」
「はい!実にゾクゾクする話でしたよ!」
「そ、そう?なら、いいんだけね。」
「おほんっ!千夏、始めたまえ。」
「了解でありマス!」
ん?何か式子さんの雰囲気が・・・気のせいかな?
「これは、とある女性のお話しでありマス・・・。」
私はおじいちゃんに会ったことがある。
当たり前のことを何で言うの?って思う方が多いと思うが、私の場合は特別な出会いだったのだ。
あれは・・・そう、私が小学校1~2年生ぐらいの頃だったと思う。
比較的都会に住んでいた私の夏休みの楽しみと言えば、伯母の家に遊びに行くことでした。
伯母の家は農家をやっていたため、田舎で、自然が多く、子供の私にとって楽園のように感じていました。
毎年のように伯母の家に行っては仏壇を拝み、そして遊ぶ。
決まってこのパターンの繰り返し。
伯母の家は伯母夫婦と伯母の両親、そして伯母の家の娘さんの五人家族でした。
いつも家族仲が良くて、
「Mちゃんは本当にいい子だね~。」
「お姉ちゃんだって優しいじゃん!私、お姉ちゃん大好きだよ?」
「私もだよ~。ギューーーッ!」
ゲームだとか洒落た遊具はありませんでしたが、従姉と遊べる、従姉に可愛がってもらえる、それだけで楽しかったんです。
けれど、その年は従姉が夏風邪を引いたため、遊ぶことが出来なかったんです。
「ごめんねMちゃん。Aったら夏風邪で。」
「仕方ないわよ姉さん。Mだってわかってるわよね?」
「・・・うん。」
正直ショックだった。
大好きな従姉と遊べず、年の近い子も近くにいなかった私は両親の会話の中にも入って行けず、ただ一人、縁側でボーっと外を眺めていました。
“お姉ちゃんに会いたい。”その思いが私を突き動かし、幼い私は伯母の家で従姉を探すことにしたのです。
風邪がうつるからという理由で本当は会ってはいけなかったのだけれど、どうしても、一目でいいから会いたかったのだ。
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