第284話 柑奈さんの怖い話~突き落とす女後編~
時刻は深夜を回り、相変わらずあの女が手を振っていた時でした。
「何も変化ねぇな。」
「そうだね。」
「ここまでずっと手を振ってるって・・・マジでヤバいな。」
「だ、だろ!だから言ったろ!?」
「もっとヤバい事言ってもいいか?ここの道、誰も通ってねぇぞ。」
「え?」
言われて気づきました。
確かに、あの女ばかりに気を取られていましたが、誰も通った人を見ていないのです。
昼間は見たことあるのですが、あの女がいる時間帯は誰も通っていないのです。
「なんか、答えてみるか。」
「は?」
そう言うと、Hは手を振る女に手を振り返したのです。
その瞬間、待ってましたとばかりに女はニタァっと笑い、消えたのです。
「え!?消えた。」
そして次の瞬間には。
ドサッ。
鈍い音が近くに響き、驚いて下を見ると、Hが落ちていたんです。
「・・・は?」
Hは二階から落ちて、動けずにいました。
「や、やばい!?」
慌てて部屋から飛び出し、Hの下に駆け寄りました。
けれど、Hは何処にもいなかったのです。
「あ、あれ?」
「おーい。」
すると、窓からHが声を掛けてきました。
「慌ててどうしたんだよ?」
「い、いやだって!?え!?」
「そこに何かあるのか?」
「い、いや、それが・・・!?H!!」
一瞬の目を離した隙に、あの女がHの後ろに立っていました。
「何だよ?」
「後ろ!!!」
Hが振り向くのも待たず、あの女はHを突き飛ばしました。
そして俺の目の前にHは落ちてきたんです。
「H!?」
『あははははははハハハハハハはハハハハハハハハハハハハ!!!!!』
高笑いで笑うと、あの女は消えました。
怖くて何もできない俺に代わって、大きな音を聞きつけた大家さんが救急車を呼んでくれました。
大家さんの素早い対応のおかげで、Hは死なずに済みました。
そのことで大家さんにお礼を言いに行ったときに聞いた話なんですが、この町では夜にあの女が徘徊しているんだそうです。
そして、気に入った男性をあの世に引きづり込もうとするそうです。
Hは、俺の身代わりになったのでしょうか?
「以上よ!」
害のある怨霊か。
「実にいい話だったよ柑奈。」
「ええ!自分もそう思うでありマス。」
「当然ね。」
これなら尾口先生もご満悦・・・おや?
「尾口先生?どうしましたか?」
「いや、この話を聞いて合コンで受けるとは思えないんだけど・・・。しかも出だしで主人公フラれてるし。」
あ・・・。
「ふむ。確かに合コン向きではないな。」
「うっ。そ、そんなこと知らないわよ!!」
「まだまだでありマスな柑奈殿。」
「ふ、ふんっ!」
そういうことにも気を付けて話さないといけないのか。
個人的には柑奈さんの話し、面白かったけどなぁ。
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