第279話 高宮君の怖い話~死を誘う女後編~

「え~皆さん!どうも!俺です。ファンの要望に応え、満を持して生放送です!初ですよ、初!え~っと、まぁ、その、皆さんも疑問に思っていると思うんですけど、ここ最近の俺の動画で体調不良を訴えるコメントが増えてるのは知っていますよね?今回はその調査が主な目的です。皆さん、今回はおふざけはあまり無しでお願いしますね。」

それからは視聴者の方とおしゃべりしながら世間話に花を咲かせていました。

その時です。視聴者の一人から体調不良を訴えるコメントが来たのは。

『なんか気持ち悪いです。』

「お!マジですか!どんな感じなんですか?俺は気持ち悪くないんですけど・・・ん?」

『女の人がいる。』

「・・・え?女の人?いや俺の部屋にはカメラマンしか・・・そいつも男だし。は?女?」

後ろを振り返りましたが、誰もいません。

『なんか言ってる。』

「え?何言ってんの?」

コメントが盛り上がる中、一人の視聴者だけがこんな感じだったんです。

『わかんない。聞き取りづらい。でも、女の人が何か言ってる。』

「いや女の人なんていないって。暴露すると彼女出来たことの無い童貞だよ俺。いやマジだって!」

『聞こえる。女の人、死ねって言ってる。』

「は?マジ?みんなも見えんの?女の人?・・・見える人はいないみたいだけど・・・え?君にしか見えてないの?」

『こ、こっちに近づいている!?』

「は?は?は?どこどこ?マジで何なの?君だけだよ見えんの。かまってちゃんならちょっとは自重して・・・。」

『終わった、かも』

「は?何だよそれ?終わった?意味が分かんねぇって!てか、他の人は見えてんの?」

コメントが色々と荒れて初め、収拾がつかなくなり、放送を止めようとした時です。


『シンダ。』


「・・・は?」

赤い文字で画面に『シンダ』と出たのです。

「え?何これ?誰悪ふざけしてんのは!・・・あれ?」

けれどその文字は視聴者には誰にも見えておらず、俺にしか見えていなかったのです。

放送を一旦中止にして見返してみると、そもそも体調不良を訴えた視聴者のコメントが消えていたんです。

「何だよこれ・・・なぁ!?」

「わかんないですけど、お祓い、した方がいいですかね?」


「その後、その人はお祓いをしたんですけど、今でも体調不良を訴えるコメントはでてるそうです。結局、女の人が見えた視聴者がどうなったかはわかりません。おしまい。」

「うむ。実に面白い。」

「ですよね。僕もこれを聞いた時、ゾクゾクしましたよ。現代社会に反映した話というのも評価が高いです。」

「いや、生放送の方に興味が出来たかな。」

「へ?」

「生放送すれば様々な人から怖い話を聞けるだろ?」

そりゃそうだけど・・・式子さんが動画投稿者か。

・・・なんか、人気が出るのは良いと思うけど複雑だなぁ。

僕には関係ないかもしれないけど、なんか、嫌だなぁ。

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