第278話 高宮君の怖い話~死を誘う女中編その2~

「これはここでいいですか?」

「ああ。」

「でもいいんですか?僕まで住んじゃって。」

「別にいいだろ?男同士だし。それに近くにいた方が撮影もしやすいだろ?だったら一緒に住むのも同じだし。何より部屋が余るだろ。」

後輩と住むことにした俺は引っ越しの片付けも済ませ、早速動画を撮影開始したんです。

「え~どうも!俺です。今回は・・・じゃん!引っ越しをしてみました!心機一転ですよ、皆さん!」

リフォームは流石に諦めましたが、新居紹介や三階を趣味の部屋として定期的に公開していくということで動画を撮影しました。

反響も良く、俺自身も調子を取り戻したのか、どんどん撮影出来て、気がつけばスランプを脱していたんです。

けれど不思議な出来事も、この頃から起こり始めたんです。

「先輩。」

「何だよ?今、次の企画をさ・・・。」

「いやその・・・この動画のコメントを見てくださいよ。」

「はぁ?」

その動画には『いやな気分になる』と、一つだけコメントされていました。

そのコメントは他の視聴者から叩かれていて、その時はあまり気にしなかったんです。

「アンチがいるのはいい事なんですよ。皆さん。だから例え俺の動画に侮辱するようなコメントがあっても気にしないで無視してくださいね。さて、そうと決まれば今日の企画何ですけど・・・。」

俺は下心丸出しでアンチを擁護するような発言をしました。

けど、そのコメントはアンチじゃなかったんです。

「先輩。見てくださいこれ。」

「お?またアンチか?いや~人気者は辛いなぁ。」

「いやそうじゃなくって・・・。」

「ん?どれどれ・・・は?」

コメントの多くが体調不良を訴えるものばかり。

『なんか、動画は楽しいのに気分が・・・。』

『やっべ~体調悪いかも。』

『ここ最近、この人の動画を見ると、体調が悪化するんだけど・・・。』

そんなコメントばかりです。

「何だよこれ。」

「わかんないですね。けど、ここに引っ越してからの動画全てにこういうコメントが増えてます。ほら、最初のこの動画にも増えてますよね。」

「確かに・・・え?何?この家になんかあんの?事故物件じゃないんだろ?」

「違いますけど・・・でも明らかにここに引っ越してからですし・・・それにほら、前の動画にはそういうコメント無いじゃないですか。」

後輩の言う通り、ここに引っ越してから体調不良を訴えるコメントが多くなっていました。

けれど、住んでいる本人には何も感じていないのです。

「ん~何が原因だ?なんか変なことしてんのか?」

「わかりませんけど。だって僕らには何の影響もないじゃないですか。」

「だよな~。」

結局原因の分からないままに俺は動画を投稿するかどうか悩み始めたのです。

そんな時、視聴者から生放送をしてほしいという要望があったので、試しにやってみることにしたんです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る