第262話 短編怖い話~思春期の末路前編~

この時期の一番の楽しみといえば・・・そう!心霊番組だ。

毎年いつ放送されるのか、気になって気になって毎日新聞欄にくぎ付けである。

そして今日、放送される。

実に楽しみだ。

「お!始まった!!」

『これは、中学生の頃の体験です・・・。』


「なぁ!」

「何だよ?」

中学生の頃、僕は煩悩塗ぼんのうまみれで性に正直な少年でした。

毎日のように女教師や女性との胸ばかり見ては妄想を膨らませ、いつかあの胸を!

なんて考えていました。

そんな時に親友の日Bから面白い話を聞いたんです。

「幽体離脱って知ってるか?」

「幽体離脱?それって体から魂だけ抜けちゃうやつであってるか?」

「そうそう!それだよ!」

「それが何だよ?」

「実はここだけの話なんだけどな。幽体離脱って練習すれば出来るんだとよ。」

「はぁ?」

荒唐無稽こうとうむけいな話でした。

そんなことが出来る訳もなく、また幽霊という存在を信じていなかったのです。

「出来るわけねぇだろ!何だよ?お前、幽霊でも信じてるってのか?」

「そりゃ信じてるね。でなきゃ俺の後ろに守護霊がいないことになっちまう。じゃあ信じてないお前の後ろにはご先祖様がいねぇんだな?」

「それは・・・って今はそんな話してねぇだろ!」

「怒るなよ~。軽い冗談だよ冗談。でも、幽体離脱が出来るって話は本当だ。」

「まだ言うかよ・・・。」

「いいから聞けって。先輩から聞いた話なんだけどよ。幽体離脱ってのは自分の魂を一時間だけ外に出すことなんだってよ。んで、一時間以内に魂が体に戻れば問題無いんだってさ。」

親友の話は微妙に信憑性が高く、次第に僕は夢中になって聞いていました。

「方法は簡単。時間に余裕があるとき、ベットの上で天井を見上げる。そしたらゆっくりと目を閉じて体が天井に届くような感覚で力を抜いていく。これだけだ。」

「・・・それだけか?そんなことで出来るのか?」

「最初は出来ないって。何度も繰り返して出来るようになるんだとよ。」

半信半疑でしたが、もし仮に幽体離脱が出来るのなら念願の女子風呂を覗くこともできる、そんな思いが僕を突き動かしていました。

「確かベットの上で・・・。」

そして僕はすぐに幽体離脱を出来るようになったんです。

『おいおい嘘だろ!?』

ベットに横たわる自分。

鏡の前に立っても映らない自分。

僕はすぐさま外に飛び出しました。

幽体離脱の凄いところは歩くこともできれば、飛ぶこともできる。

壁だって願えば通り抜けることが出来る。

その日から僕は女子風呂を覗くことも行った。

『うひょーーーー!!!』

楽しい日々でした。



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