第263話 短編怖い話~思春期の末路後編~

僕は毎日のように女子風呂を除いていましたが、次第にそれだけでは満足できず、性行為を見てみたい!と、思うようになりました。

『今日はこの部屋~・・・って、んだよ留守か。』

けれど、そう簡単に見られず、次第に人の部屋を除くことの方が楽しくなっていったんです。


『この部屋は~・・・っと、女の子の部屋か。お人形さんと一緒に寝てて可愛いね~。』


『次の部屋は・・・あ~オタクの部屋か。うっわ!マジでハスハス何て言うんだ。』


『ここは・・・あ~夫婦喧嘩中ですか。あまり本気にならないでね。』


『お次は・・・あ、ご老人のお部屋ですか。猫ちゃんが可愛いなぁ。』


『今日はこの部屋で最後だな。さて、ここは・・・ん?』

その部屋は少し不気味でした。

真っ白な壁の部屋だとは思うんですが、電気もつけずに恋人らしき男女が黙って映画を見ていたんです。

妙なのはその映画が子供向けのものということではなく、その男女が無表情で見ていることです。

大人からすれば面白くないのもわかりますが、わざわざこんな部屋で恋人と見るかと聞かれれば・・・僕なら無いと答える。

そんな状況です。

しばらく二人のことを観察していましたが、微動だにせず、まるで人形のようでした。

それが気になって僕は毎日のようにこの二人の様子を見に行きました。

毎日毎日代わり映えの無い風景のように二人は全く変化していませんでした。

『今日も変化なし。この人たち・・・生きてんだよな?』

幽体では何もできることもなく、僕は実際に尋ねてみようと思いました。

「ここだ。」

緊張しながらインターホンを押しても反応はない。

試しにドアノブを回すと、扉は抵抗なく開きました。

本当はいけないことですが、僕は中に入り、あの二人がいる部屋に行きました。

「・・・いない?」

そこには誰もいないどころか、家具の一つもありませんでした。

「ここだよな?間違っていないはず・・・」

「ここで何をしているんだい?」

驚いて振り返ると、優しそうなお兄さんが立っていました。

「あ、いやその・・・。」

「住宅見学かい?確かにここは空き家だけど、まずは不動産屋に来てね。もちろん、ご両親と一緒にね。」

ここは空き家だったのです。

じゃあ僕が毎日のように見ていたあの二人は・・・。

その日以来僕は幽体離脱をしていません。


「うむ。なかなかに面白い話だったな。」

幽体離脱か。

出来るとは思わないが、もし仮に出来るとしたら僕は何をするだろう?

・・・うん、僕だったら心霊スポットに行って本当に幽霊がいるのか確かめてみたいなぁ。

 

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