第227話 高宮君の怖い話~鏡の向こう側中編その5~
俺「・・・ハッ!?」
肌寒さに起きた俺は瞬時に脳を覚醒させ、Aを探した。
Aはやはりおらず、俺はすぐさまみんなを起こした。
俺「おい!起きろ!B!C!D!」
B「うへぁ!?」
C「う、ううん・・・。」
D「ふわぁぁ。」
俺「やっぱりAがいねぇよ!」
B「マジか!?」
C「ほ、本当だ!?」
D「いったいどこに!?」
俺「決まってんだろ!あそこだよ!!」
俺は迷わずに鏡のある建物に全力で走った。
躊躇いなく中を見ると、昨日と同様にAが立っていた。そして・・・。
A「あひゃひゃ。」
やはり誰かと談笑している。
俺「おい!A!」
B「ま、マジでいやがった!てか、何で笑ってんのこいつ?」
C「A君!!」
D「何がどうなって!?」
Aの肩を掴み、必死に揺すりましたが笑うのを止めず、むしろどんどん大きな声で笑っていたのです。
A「あひゃひゃ!あひゃひゃ!」
その笑いは次第に絶え間なく起こりました。
A「あひゃひゃ!あひゃひゃ!あひゃひゃ!あひゃひゃ!あひゃひゃ!あひゃひゃ!あひゃひゃ!あひゃひゃ!あひゃひゃ!あひゃひゃ!あひゃひゃ!あひゃひゃ!あひゃひゃ!あひゃひゃ!」
まるで壊れたラジオのようにAは笑っていやがった。
俺「いい加減にしろA!!」
C「A君!!」
D「A君!」
B「・・・な、なぁ。」
俺「何だよ!!」
B「か、鏡・・・。」
俺「うるせぇ!!今はそれどころじゃ!」
B「鏡を見ろよ!!!!」
Bの悲鳴じみた怒鳴り声に驚き、鏡を見ると、顔が引きつるのがわかった。
それはCやDも同じでした。
鏡には・・・鏡の向こう側には数えきれないほどのピンク色の服を着た女の人がニヤニヤと笑いながら立っていたのです。
それも、すべて同じ人物がです。
俺「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?!!?」
驚きのあまり、俺はAを放してしまった。
するとAは吸い寄せられるように鏡の方に歩いて行き、そして。
A「あひゃひゃ!あひゃひゃ!」
笑いながらAは鏡の中に入って行ったのです。
俺「A!?」
C「A君!?」
D「お、俺!先生呼んでくる!!」
先生を呼び行ったDは怒られながら戻って来た。
顔を真っ赤にしていた先生は一気に真っ青になった。
「こ、これは!?」
俺「せ、先生!どうすればいいんですか!?」
「何が起こったんだ!?」
C「わ、わかりません!A君の様子がおかしくて、それで!」
「と、とにかく先生方を集めないと!?」
深夜ということもあり、ほとんどの先生がかなりご立腹だった。
けれどAの姿を見ると、みんな一様に怒りが消えた。
「こ、これはどういうことですか!?」
「わかりません!で、でもこの子は!?」
「A君!A君返事して!!」
「おい!A!しっかりしろ!!」
「A君!!!」
先生たちが集まる頃にはあの女の人は消え、Aがボーっと突っ立ているだけでした。
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