第226話 高宮君の怖い話~鏡の向こう側中編その4~

意味が分かりませんでした。

Aは誰かと話している感じなのに、そこにはA以外誰もいません。

恐る恐るその光景を見ていると、嫌な視線を感じました。

ゆっくりと視線を動かすと、鏡の向こう側から女の人がニヤニヤと笑っていたんです。


俺「ひっ!?」


俺は小さな悲鳴を上げると、すぐさまテントに逃げました。

テントの中に逃げ、頭から布団を被り、朝になるのを震えながら待ちました。

俺が震えていることに気づいたCが俺を心配してきたけど、あれをCに説明することは出来ず、俺は震えることしか出来ませんでした。


C「どうしたの俺君?」

俺「・・・。」

C「震えてるの?何かあったの?」

俺「・・・。」

C「・・・怖い夢でも見たんだね。大丈夫だよ。僕たち4人がついてるから安心して。」

俺「・・・え?4人?」


Cの言葉を疑問に思い、隣を見ると、Aがぐっすり眠っていたんです。


俺「!?!!?!?」


俺が声にならない叫びをあげると、それに驚いたBが起きました。


B「な、なんだ!?」

C「俺君!?」

B「何かあったのか!?」

俺「!?!!?!?」

C「しっかりしてよ!」

B「おいおいどうしたんだよ!」


Cに促されるままにゆっくりと深呼吸をし、俺は2人に先程のことを話すことにした。


B「・・・は?」

C「どういうこと?A君ならずっとここにいたよ?ね?」

B「いや俺寝てたし。」

俺「でも確かにあそこで・・・。」

B「寝ぼけてた・・・な訳無いか。」

C「そうだね。俺君の驚きは嘘っぽくないし。でも、物理的に不可能なのも事実だよ。」

B「だよな。こいつの方が足速いし、Aがあの建物の中にいて、こいつより先に戻って来て眠ってるって・・・変て言うか無理って言うか。」

俺「でも確かにあそこに!」

C「信じるよ。でも、A君はずっとここにいたと思うんだ。」

俺「じゃあ!あれは誰だよ!!」

C「それは・・・わかんないけど。」

B「とにかく!一度寝てスッキリしてからAに聞いてみようぜ!」

俺「あ、ああ。」


結局モヤモヤしたまま俺は朝を迎え、案の定Aは何も覚えていなかった。

けれど絶対にあれは夢じゃないって俺は確信を持っていた。

だから臨海学校の3日目最後の夜、俺は覚悟を決めた。


B「本当にやるのか?」

俺「ああ。」

D「俺君の話が本当ならA君は誰かと、というか女の人と話していたってことだよね?」

俺「その通りだ。」

B「先生を見間違ったとかってぇのは?」

俺「ない!」

B「こうもハッキリと言えるもんかね。」

C「まぁまぁ。寝ずにA君を見張っていればわかるよ。きっと。」

B「きっと、ねぇ。てか、何でAは暢気に寝てられんだ?」


Aが寝た後、俺たちは寝ずにAを見張ることにした。

けど、気づかないうちに俺たちは眠ってしまっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る