第204話 式子さんの怖い話~佇む女の理由は。中編その1~

「ギャハハハ!まじかよそれ!」

「な?おかしいだろ?あいつマジで馬鹿なんだよな~。」

「ふふ。でもそれに付き合うA君は優しいんだね。」

「おいおいC。こいつに惚れるなよ?」

「え?僕一応男だからA君に惚れないよ?」

「こいつは男だって食っちまうんだぜ?」

「そうそうBは男でも容赦なく食うんだよなぁ。」

「この前さ、Bが美少年と駅で・・・。」

「おいそこのAとD!!捏造すな!」

「ダハハハ!お前が先だろB!」

「ギャハハ!そうだそうだ!・・・ん?酒が少ねぇな。」

「あ、じゃあ僕が買ってこようか?」

「おいA。」

「あ?んだよ?」

「こいつで好きなだけ買ってきな。」

「こ、こいつは!?諭吉さん!?しかもお二人も!?」

「今日は・・・俺の奢りだ。」

「フゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!Bの野郎!やりやがったぁぁぁぁぁ!!」

「わ~僕、お菓子買ってもいいかな?」

「おいおい好きなだけ買えって言ったぜ俺は。」

「ハハッ!B様のお気に召す物をこのA、そしてCが買いに行かせていただきやす。」

「うむ。良きに計らえ。」

くだらないやり取りをした後、酔いの浅い俺とCで近くのコンビニに買い物に行ったんだ。

「・・・らっしゃせー。」

俺たちは二万円で買えるだけ酒とお菓子を籠に入れた。

「・・・全部で一万九千八百円になりやーす。」

「これで。」

「・・・お釣りになりやーす。今袋に詰めやーす。」

「B君には感謝だね。」

「そうか?家主にはこれぐらいしてもらわないとな。」

「え~。」

「・・・お客さん。」

「あん?」

「この近くのアパート住みっすか。」

「えっと・・・。」

「そうだけど?なに?文句でもあんの?」

「ちょ、ちょっと!?A君!?」

「あそこ、引っ越す人が多いから。気を付けたほうが良いっすよ。」

「は?なにそれ?ビビらしたいの?」

「え、A君!?」

「いや違うっす。ここのコンビニ、お客が少ないからなるべく引っ越してほしくないんっす。」

酔っていて喧嘩でも吹っ掛けられたのかと思ったけど、違った。

店員のチャラそうな男は明らかに心配しているような感じだったんだ。

「あの、何かあるんですか?もし何かあるなら教えてくれませんか。」

「丁度こういう日っす。この近くのアパートに出るんっすよ。」

「なに?幽霊でも出るの?んなの信じられ・・・。」

「本物っすよ。あれは。」

まるで見たことあるようなその言い方に俺は妙に引っかかったのを覚えている。

けれど、あの時は酔っていて、それほど気にしないままにコンビニを後にしたんだ。

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