第203話 式子さんの怖い話~佇む女の理由は。前編~

「二人とも見事な話だった。」

次はいよいよ式子さんだ。

さて、いったいどんな話なんだろうか!

ワクワクするぜ!

「さぁ式子!あなたの話を聞かせてちょうだい。」

「期待しているでありマス式子総司令。」

「ふふ。期待に応えて見せるさ。」

式子さんの雰囲気が変わった・・・来る!!

「これから私が話すのは最近聞いたばかりの話しだ・・・。」


「よぉ!」

「あ?ああ。」

「お前引っ越したんだってな。」

「まぁな。大学生の醍醐味っつたら一人暮らしだろ?」

俺たちが大学生の頃、友人のBが一人暮らしを始めたというので、冷やかしも兼ねて数人で押しかけることにしたんだ。

初めは嫌がっていたBも、CやDの言葉に翻弄され、渋々了解してくれた。

まぁ俺一人でも乗り込んでやろうかなって思ってたんだけどな。

そんで飲み明かしたいっていうのもあって金曜日にBの住むアパートの行ったんだよ。

Bのアパートは、大学生の下宿先としてはまぁこんなものだろうなっていうレベル。新築というわけではないが、古すぎるわけでもない。

丁度いい感じの、大学生に相応しいアパートだったんだ。

「へぇ~ここが。」

「おう。」

「結構いいじゃん。」

「だろ?家賃もそれなりだし、駅は・・・遠いけど、コンビニは近いしさ。結構便利だと思うんだよ。」

「良いんじゃないかな。B君が気に入ってここにしたんでしょ?」

「へへっ。結構真剣に選んだんだぜ。」

「おかげで俺は車で連れまわされたんだけどな。」

「それを言うなよ~D~。」

アパートは三階建て。

入り口に狭い階段があって、奥には一階の部屋につながる通路があり、その向こうは駐輪場らしい。

友人の部屋は二階の角部屋だった。

「早く中に入ろうぜ。地味にさみぃし。」

その日は小雨が降っていて、秋なのに肌寒かったのを覚えてる。

「だな。」

「んじゃ俺の部屋こっちな。」

俺たちは来る途中にあったスーパーで買い込んだ酒やつまみをぶら下げながら、Bの部屋に押し掛けることにしたんだ。

「は~結構広いんだな。」

「ふふん!いいだろ~。」

「部屋も綺麗だね。」

「だろだろ?」

「早く酒飲もうぜ。」

「おいD!もう少し感動をだな・・・。」

「俺はお前がここに入居することを決めた時に見てるんだけど?」

「・・・うん。」

「俺がどんだけ長い時間運転したと思ってんの?舐めてんの?」

「・・・うん。」

「感動?ある意味解放された感動だけはあるわ。」

「・・・うん。」

「そんな俺にそんな態度でいいのB君。」

「・・・ごめんなしゃい。」

「・・・酒。」

「うい。」

そんな感じで始まった俺たちの宅飲み会は徐々に盛り上がり、次第に酒やつまみが減っていったんだ。

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