第195話 柑奈さんの怖い話~寮の一階トイレ中編その2~
「って、言ったけどよ。」
「これは・・・。」
卓球部の寮の一階の西側のトイレは寮長の部屋の前で、入るのを見逃してくれなさそうな雰囲気だった。
現にBが入ろうとして捕まりました。
「あんたたち!先輩に言われたでしょ!ここに入っちゃいけないって。」
「はい・・・。」
「ならルールを破りなさい。スポーツマンでしょ。」
「けど、知りたくて・・・。」
「そ、そうだよ!理由も教えてくれねぇと分かりませんよ!」
「・・・君たち、二人とも外組ね。」
この高校は中学高校一貫校で、高校からの生徒を外組と呼ぶ人も少なくはない。
「そっか~今年の卓球部の外組の二人ってあんたらなのね。どうりで。」
「僕たち以外にいないんですか?」
「あんな変なことがあったら誰だってこんな場所に来ないわよ。」
「やっぱなんかあったんですか!」
「ふぅ~。先輩たちは君たちに何も教えなかったのは不用意な恐怖を教えない為だと思うけど?」
「で、でも!」
「教えてください寮長さん。このままじゃ気になって練習に身が入りません。」
「・・・わかったわよ。ここじゃなんだし、部屋に上がりなさい。」
部屋に上がった僕らにお茶を出した寮長は深呼吸すると、すんなり話してくれた。
あれほど調べてもわからなかったのに。
「三年ぐらい前だったかしら。卓球部にエース君っていう生徒がいてね。とても強くて卓球部のエースだったの。本当に強くて、高校一年で全国制覇していたの。だから彼の代は三連覇も夢じゃないって。けど彼は全国制覇してから翌年、ここから逃げるように卓球部を辞めたの。」
「それは何でですか?」
「・・・西側のトイレで幽霊が出たって言ってね。」
「幽霊?はぁ?」
「普通はそう思うわよね。現にみんなそう思ったもの。だから部長さんが代表して調べたのよ。そして同じように部長さんも辞めていった。それから続いて副部長、マネージャー、顧問と。立て続けに辞めていったわ。みんな一貫してトイレを調べた後にね。そして誰も何も話してくれない。ただ一つ、エース君が言った幽霊がいるって言うこと以外ね。それからすぐにこの西側のトイレは使用禁止になったのよ。」
「意味わかんねぇけど、幽霊なんて本当にいるんですか?ただの噂じゃあ・・・。」
「みんなそう思ったのよ。エース君の見間違いだって。けどね、みんな必ず辞めていく。それがこの幽霊話に信憑性を高めていったのよ。だから君たちも悪いことは言わないから調べるのはもうやめなさい。」
それ以上は寮長さんも何も知らないそうだ。
けど、僕とBはますます気になって、夜中に入ってしまったんだ。
西側の、一階のトイレに。
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