第194話 柑奈さんの怖い話~寮の一階トイレ中編その1~
「あの、それって・・・?」
「とにかく必ず守ってくれ。いいね?」
「はい・・・。」
副部長の質問は受け付けないという雰囲気に、僕はそれ以上聞けなかった。
そこからは何事も無かったように道具の場所やトイレの場所。
練習時間や練習内容。
他の部員の紹介、マネージャーの紹介と一通り終わるころにはその日は終わった。
次の日、早速朝練でランニングを始めた僕はやはり気になる副部長の言葉を他の部活の人に聞いてみることにした。
「卓球部のトイレ?はぁ?」
「いや~なんか先輩が絶対に一階の西側のトイレは使うなって言うんですよ。何か知りませんか?」
「誰がんなこと言ってんだよ。」
「えっと、副部長さんです。」
「あいつが?う~ん・・・。知らねぇけどあいつはめっちゃ真面目な奴だからなんかあるんじゃねぇの?」
「知りませんか。練習中すみませんでした。」
「いいよ別に。てか、お前一年なのに行動力あるなぁ。」
「いや~照れますね。」
「ぷっ。なはははは!お前おもしれーわ。卓球部辞めたらサッカー部に来いよ。待ってるからよ。」
「ありがとうございます。」
それから他の部活の人たちに聞いて回ってみたが、誰も知らなかった。
「やっぱ先輩に教えてもらう以外ねぇのかな。」
「どうしたんだよA?」
「Bか。いや、先輩に言われたことが気になってさ。」
「あ~西側のトイレは使うなって話?俺も気になったけど、先輩方誰も話してくれねぇんだよなぁ。」
「やっぱそうなのか。う~気になる~。」
「まぁほどほどにしろよ。俺も気になるといえば気になるけど、あの副部長さんは嘘をつく人じゃないって聞いたし、本当に何かヤバい理由があるんだと思うしよ。」
「だからこそだろ。仮に猛烈に漏れそうになって近くにあったのが西側のトイレなら今の状態の僕では迷わず使ってしまうからな。だとしたら怖い理由の一つや二つ聞いておけば絶対に使わないだろ?漏れそうでも。」
「た、確かに・・・。ん~なんか俺も気になって来たな。よし!俺ももう少し調べてみるわ。」
Bは高校入学して初めてできた友人でした。
元気が取り柄の奴で、悪い奴ではありません。
高校の入学後も僕とBはトイレについて調べ続けました。
けど結局何もわからずに僕たちは夏休みを迎えました。
「やっぱこのままじゃ埒が明かねぇな。試しに入ってみるか?」
「危険があるかもしれない状態でか?危険を冒してまで知りたくはないな。」
「けど、ここまで調べても何もわかんねぇんだぞ?なら実際に見た方が早いだろ?百聞は・・・一見に如かず?だっけ?」
Bの言うことはとても真っ当でした。
これだけ調べてもわからないなら直接入ってみるしかない。
僕も、だんだんそれが正しいような気がしてきました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます