第182話 尾口先生の意味が分かると怖い話2前編

「やぁよく来たね。」

いや呼び出されたら来なくちゃ行けないでしょ。

お昼休み、僕は昼食前に尾口先生に呼び出された。

「何か御用ですか先生?」

「まぁまぁ。話はお昼を食べながらにしようか。」

だからお昼ご飯持参なのね。

「ほほぉ。優君のお弁当はバランスが取れてるねぇ。野菜もしっかり入って、尚且つ高校生の優君の体作りに大切なお肉も入っている。実にいいお弁当だね。」

なんなの?

お弁当の評論をやりたかったの?

「僕も、そういうお弁当作ってくれる奥さんが欲しいなぁ。」

先生は・・・コンビニ弁当か。

確かに毎回コンビニ弁当っていうのは・・・嫌だな。

「だからこそ早く結婚して、奥さんの手料理弁当を食べたいんだ。」

「それは・・・まぁ応援しています。」

「うんうん。だから優君に協力して欲しくてね。」

何をやらす気なんだ?

面倒ごとはご免だぞ?

「実はこの前ね、インターネットでモテる方法を探していたんだよ。」

うん、なんか、こう、物悲しい!!

「そこで見たのは“流行りを知っているのはモテポイントが高い”ということなんだよ。」

う~ん・・・まぁ、そうなのかも?

「そこで!僕は何が流行っているかを考えた結果、この前優君にも好評だった“意味が分かると怖い話”だと思うんだよ。」

お、おう?

「だから僕なりに集めてね。その話しを優君に聞いてもらって、反応が良さそうなものを合コンで話そうかと。」

「なるほど。お話は分かりましたけど、なんで僕なんですか?僕よりも式子さんや柑奈さん、麒麟園さんの方が同じ女性としての反応を見れると思いますよ?」

「う~ん・・・。こういうことは言わないほうが良いんだけど、彼女らは特殊の部類に入るからねぇ。なんだかんだ言って優君の方が一般的な反応をしてくれるんだよなぁ。」

ひ、否定できねぇ!

安易に一般の女性とは違う反応をするのが想像できるからなぁ。特に式子さんは。

「だから頼むよ。ね?」

「分かりました。僕でよければ聞きますよ。」

「うんうん。ありがとう優君。では、まずはこの話だ・・・。」


僕の父さんは表情がない。

細かく言えばいっつも仏頂面で、僕が面白い話をしても祖父が亡くなったと伝えてもその表情は変わらなかった。

地下室に籠り、食事もほとんど取らない。

母に聞くと、大概『仕事が忙しいのよ』としか言われない。

だから、僕が高校に入学すると同時に母は男の人たちと家を出て行った。

「ただいま。」

「・・・。」

父さんは今日も仏頂面だ。

「今日、部活案内をもらってさ。何か部活を始めようと思っているんだ。」

「・・・。」

「何がいいかな?」

「・・・。」

「ねぇ?」

「・・・。」

僕はいつものように父さんとの会話を止めて風呂に入る。

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