第183話 尾口先生の意味が分かると怖い話2後編

風呂を出て、コンビニ弁当を食べて寝る。

最近、くさいにおいがして寝心地が悪い。

けれど、お母さんの顔を思い出せば眠ることが出来る。

「お父さんおはよう。って、昨日もご飯食べてないじゃん。ちゃんと食べないと体に悪いよ?」

「・・・。」

「それになんか臭いよ?ちゃんとお風呂入ってるの?」

「・・・。」

「はぁ。ちゃんとご飯食べて、お風呂に入ってねお父さん。僕は今日も遅いと思うけど、気にしないでね。」

僕は今日の挨拶も済ますと高校に向かう。

そしてまた無意味な一日を過ごす。

授業を受けて、お昼を食べて、掃除をして。

今日も遅くに家に帰る。

そういえばお母さん、早く帰るって言ったのに帰ってこないなぁ。

今頃、何してるんだろ。


「以上だよ。」

ふむ。全くわからん。

「えっと、どういうお話しなんですか?」

「ふっふっふ。少しは考えてみてくれるかな?」

と、言われてもなぁ。

えっと、高校生の少年が家に帰ると仏頂面の父親がいて、母親は男の人たちと家を出て行って・・・ん?たち?男の人とではなく男の人たち?

男の人たちっていうのがポイントか?

そんで話の続きは、少年が家に帰ってきて一晩過ごして学校に行くんだよな。

ん?夜臭いとも言っていたな。臭い、か。ここもポイントなのかな?

そんで、学校にいて過ごして帰る。それで最後に母親のことを思い出したと。

早く帰る・・・ね。う~ん・・・ちょっとまだわからないなぁ。

「どうかな優君。何か分かったかい?」

「いいえ、まだ何とも。ちょっと難しいですねこの話。」

「むむ。そうかい?僕は何となくわかったけどなぁ。」

なんかそう言われると、僕も答えを導き出したくなるな。

「ヒント。ヒントを言おうか?」

「いえ結構です。もう少し考えてみます。」

「そ、そうかい?お昼休みが終わる前には答えてね?」

う~んやはりポイントは母親だろうな。

男の人たちってどういう意味だ?祖父母や親戚関係ならそういう言い回しはしないだろう。

いやちょっと待て。

確か少年は祖父が亡くなったのを伝えたって言っていたな。

てことは祖父の最後に父親は会っていないのか?何故?仕事が忙しいから?確か母親もそう言っていたけど、別の理由だったら?例えばそう、父親が動けない状態だったとか。

って!?まさか!?

「父親は・・・亡くなっていた?」

「お!流石は優君!その通りだよ。このお話しでは父親は亡くなっているんだ。」

「え!?てことは少年は父親の遺体と話していたってことですか?だから異臭がするって?じゃあ母親が男の人たちとって・・・。」

「うんうん。実はこのお話は何らかの理由で母親が父親を殺害。父親の遺体は地下室に隠してしまった。警察に連れて行かれた母親は口を割っていない。息子は死んだ父親に毎日話しかけている。という異常な空間の話だね。」

確かに意味が分かると・・・うん怖いなぁ。

「この話はどうかな?」

「ちょっと意味が分かるまで時間かかりますけど、良いと思います。」

「そうか!よし、これは採用だな。」

けど、意味が分かると怖い話って流行ってんのかな?

・・・ま、本人がいいならいっか。

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