第157話 麒麟園さんの怖い話~レインコート前編~
雨が降りしきる中、オカルト研究会の部室ではいつも通りの時間を過ごしていた。
「雨が降ると、梅雨って感じがしますよね。」
「そうだね。」
「あたし、雨って嫌い。じめじめしてるし、髪が乱れるし、良いことないじゃん・。」
「そうかい?雨の音は人の心を穏やかにしてくれるから私は結構好きだな。」
「自分も好きでありマス。この音を聞きながらの怖い話というのもなかなかに風情があるじゃないですか柑奈軍曹。」
「あんたね・・・ま、そう言われると否定しづらいわね。」
「そこで!今日は自分が雨にまつわる怖い話をしたいと思うでありマス!」
「ほぉ。」
式子さんの目の色が変わった!
「期待していいのかな千夏。」
「もちろんでありマス!神楽坂さんのようなことを自分はしないでありマス!」
唐突な神楽坂さんディスり!?
本人がいなくて良かった・・・。
「失礼するよ。」
「おお!尾口先生!先生も自分の怖い話を聞くでありマスか?」
本当に久々だな。
最近は全然ここに来なかったのに。
「ハハハ。是非聞かせてくれたまえ。」
「尾口先生、何か御用があったのではないですか?」
「いいや。
補習してたのか。
「ぐふふ。運がいいでありマスよ先生。自分の怖い話は神楽坂さんのような無様は晒さないでありマス!」
え?もしかして神楽坂さん嫌われている?
てか・・・。
「あの、麒麟園さん。」
「何でありマスか高宮兵?」
「なんで神楽坂さん?何か無いんですか?曹長とか少佐とか?」
「無いでありマス!」
元気がよろしい!じゃなくて!
「ど、どうして無いんですか?」
「この学校の生徒ではないからでありマス。」
うん、なんも言えねぇ。
「そんなことより聞くでありマスよ高宮兵!」
「は、はい・・・。」
「これは、ある雨の日の出来事だったでありマス・・・。」
「梅雨の時期って嫌いなのよねぇ。」
洗濯物が溜まってきた土曜日、Aさんは奇妙な出来事に遭遇したのです。
結婚してから10年経ち、娘も小学生になったAさんは幸せな生活を送っていました。
優しい旦那、明るい娘。
これ以上、何を望むのかと思うぐらい順調でした。
しいて言うならもう一人子供が欲しいとAさんは思うぐらいです。
そんなAさんが嫌いな季節が梅雨の季節でした。
洗濯物が出来なくて、旦那と喧嘩したことも何度かあったぐらい、Aさんにとって梅雨という時期は嫌いなものでした。
けれど娘は梅雨の時期が大好きで、毎日のように外に遊びに行っていて、Aさんの悩みの種になっていたのです。
けれど、今年はその回数が異様に多く、そしていつも遅く帰ってくる娘にAさんは怒ってしまったのです。
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