第148話 式子さんの怖い話~ひきこさん。中編その2~

「嫌な先生ね。虫唾が走るわ。」

「で、ありマスね。」

「けど、式子さんは何もなかったんですよね?今でも綺麗ですし。」

「っ。ありがとう優君。できれば不意打ちはやめて欲しいが。」

「はい?んげっ!?」

こ、後頭部に痛みががが。

「確かに優君の言う通り、私はいじめには遭わなかった。だが、結果的に先生の目論見は成功していたんだ。」

そ、それは?

「二学期。私は完全に孤立したんだよ。誰も私に近づかない。これまで少しでも話したことのある級友もね。プリントも先生からしか受け取れなかったよ。」

「何でそんなことになったんだい?式子。」

「恐怖だよ星夜。」

「恐怖?式子をかい?」

「正確に言えば私ではなく、私の名前に似ている『ひきこさん。』にね。」

名前が似ているだけで?

「実は先生は全て話したわけではないんだよ。」

「どういう意味よ?」

「そのままの意味だ。先生は『ひきこさん。』の話しではなく、『ひきこさん。』の誕生についての話しだったんだ。」

それってつまり・・・。

「子供は好奇心旺盛だし、このご時世だ。簡単に調べられたろうね。もちろん私自身も調べた。ふふ。ここからは『ひきこさん。』のエピソードの一つを話そう。」


Aさんは幼馴染のBさん、Cさんといつも一緒にいました。

Aさんは引っ込み思案で、いつも引っ張ってくれる二人の後をついて回っていたのです。

だから周りからは仲良し三人組、と呼ばれていました。

ですが、あることがきっかけでAさんは二人といることが辛くなりました。

「きもいんだよ!バーカ!」

「何これ?ウケるんですけど(笑)」

「か、返して・・・。」

それは二人がDさんをいじめるようになったからです。

いじめの原因は些細なこと。

Bさんの好きな人はDさんが好きだったのです。

理由は中学生の割に化粧の濃いBさんよりも、素朴でも可愛いDさんの方がいい。ということでした。

これに激怒したBさんはCさんに協力を仰ぎ、Dさんをいじめるようになったのです。

クラスカーストの上位にいたBさんとCさんに誰も逆らうことが出来ず、ただただ毎日Dさんがいじめられるのを見ているだけでした。

一番近くで見ていたAさんはこっそり先生に相談しましたが、BさんとCさんを注意した先生はすぐにレイプ未遂で学校を辞めてしまいました。

「先生、あいつらにハメられたらしいぜ。」

「知ってる。あいつらもえげつねぇよな。」

「しっ!聞かれたら俺たちも同じ目に遭うぞ!」

「やべっ!」

学校において、BさんとCさんに逆らえる者は本当に誰もいませんでした。

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