第149話 式子さんの怖い話~ひきこさん。中編その3~
そんなひどい目に遭っているのにDさんが学校に通い続けたのは、支えてくれる両親と気にかけてくれるクラスメイトのおかげでした。
「ほんと、何で毎日学校に来れるの?馬鹿なの?」
「本当だよねぇ~。もしかしていじめが足りないのかな?ねぇ、A。」
「・・・さ、さぁ?」
「そうだ!いい事思いついた!」
「なになに?B。」
「こいつが学校に来るたびに関係ない奴を潰そう!」
「っ!?」
「何それ何それ面白そう!」
それは悪魔の閃きでした。
Dさんが学校に来るたびに関係のない人が傷つくのです。
「や、やめて!わ、わたしは我慢するから!我慢するから!」
「む~り~。だってつまんないんだもん。あんたを毎日いじめてあげてるのにあんたは平気な顔で学校に来るんだもん。飽きちゃった。」
平気な訳無い。
Dさんは必死に耐えているだけなのに。
悪魔だ、この二人は悪魔だ。
いつの間にかAさんの体は震えていました。
「じゃあ今日からしよう!ね!B、誰にする?」
「そうね・・・ん?どうしたのA?」
「え?」
「震えてんじゃん!もしかして・・・あたしたちが怖いの?」
「そうなのA?」
ハッキリと言えば怖い。
けれど、そんなことを言えるわけもなく、Aさんは心を殺して答える。
「う、ううん。怖くないよ。」
「そうだよね~あたしら親友じゃん。」
「ね。うちらは一生親友!Aのことをいじめるわけないじゃん!」
そんなことで怯えてるんじゃない。
いつか、この悪魔たちが自分に誰をいじめるのかを決めさせるのが怖いのだ。
「お願い!私は我慢するから!」
「るせぇな。そうだ!あいつにしよう!」
「だれだれ?」
「EだよE!あいつこそこそこいつと話してんだよ~。」
最悪だ。よりにもよってEさんが最初の標的に選ばれたのです。
「いやー!!止めてお願い!!」
「お?何だよ良い反応すんじゃん!よーしEに決定!」
「決定~!」
「やめて!!!」
「きもいんだよ!!」
思いっきり蹴られたDさんは頭を壁に強く打って動かなくなりました。
「ったくよぉ。ようやく静かになった。んじゃEの所行こう。」
「ね、ねぇ、どうすんのDさん。このままにしておくの?」
「あ~・・・A、片付けておいて。」
「え?」
「気になるのはAでしょ?あたしらはこれからEをいじめに行くからさ、暇じゃないじゃん。ね?」
「そうそう。Aが気にするならAがどうにかしようよ。」
いじめの現場を見なくて済む。という逃げの考えがAさんを突き動かしました。
気にも留めずに歩いていく二人をよそに、AさんはDさんを保健室に運びました。
そのおかげでAさんはEさんがいじめられるところ見ずに済みました。
けれど、聞いた話ではEさんは全裸にされた後に残りの授業を強制的に受けさせられたそうです。
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