第120話 式子さんの怖い話~トイレの花子さん。中編その1~

「うわっ。暗いじゃん・・・どうしよう。でも、もう我慢できそうも無いし・・・ええい!」

Aさんは怖かったのですが、我慢できそうにないことから一番近い個室に入りました。

「ん~でもなんか忘れてる気がするなぁ。」

Aさんが忘れていることは今日の昼間の友達から聞いた話である。

「ねぇねぇ!」

「何?」

「この学校にもいるのかな?」

「何がいるの?野良犬?」

「いや犬もいいけどそうじゃなくってさ。花子さん。」

「はい?」

それは昨日テレビで見たのがきっかけだったらしい。

「昨日のテレビでね、どの学校にも『トイレの花子さん』という話は合って、どの学校のトイレにも花子さんはいるんだって。」

「何それ?てか、この学校にはいないんじゃない?」

「いるかもしれないじゃん!おかっぱ頭で白い服、赤いスカートを履いた女の子の幽霊。」

「ん~でもこの学校に三年間通ってるけどそういう学校の七不思議?的な話しって聞いたことないけど。」

「それは・・・そうかもしれないけど。」

「だからいないんじゃない。と、いうよりもそういう心霊的な話って大概は作り話でしょ?」

「えー!それじゃ面白くないじゃん!」

「いや面白いとか関係ないし。」

「花子さんはいるんだよ!」

「はいはい。」

そんな話をAさんは忘れていました。


Aさんは用を済ませて手を洗っていると、人の気配を感じ鏡を見ました。

見間違いかもしれないが、人の影が横切った気がしたのです。

「誰か入ってきたのかな?」

ハンカチで手を拭きながら個室の方を見ると、一か所だけ扉が閉まっていました。

「さっきトイレに入った時は全部空いていたよね?それとも誰かまだ残っていたのかな?」

いつの間にか閉まっていた一番奥のトイレが少しだけ気になり、Aさんは確認することにしました。


コンコンッ。


反応はなく、音も全くしません。

「・・・気のせいかな?けど・・・。」

誰もいないのなら何故トイレのドアは閉まっているのか。

不思議な現象にAさんはどんどん気になりました。


コンコンッ。


もう一度ノックをし、扉を開けてみることにしました。

「すみませーん・・・。」

扉は抵抗することなく開き、中には誰もいません。

「やっぱり気のせいか。」

Aさんは確認ができると、そのまま真っすぐ家に帰りました。

次の日にそのことを友達に話すと、「それって絶対に花子さんじゃん!」と予想外に食いついてきました。

「でも、誰もいなかったよ?」

「え!?中を確認したの!?マジ!?」

「う、うん。花子さんだと思っていなかったし。」

「勇気あるなぁ。アタシだったら絶対に無理だけど。」

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