第121話 式子さんの怖い話~トイレの花子さん。中編その2~

「ねぇ!今日の放課後にもう一度確認してみない?」

「え~。私、生徒会の仕事で遅いよ?」

「待ってるからさ!ね!」

「ん~・・・。」

断る理由も浮かばなかったAさんはもう一度確認することにしました。


「ここ?」

「うん。」

放課後、Aさんは昨日と同じぐらいの時間に友達とトイレに来ました。

だが昨日と違い、電気がついていました。

「昨日はついてなかったのに。」

「え?何が?」

「ううん。何でもない。」

「けど、扉は全部空いてるね。」

「だね。」

個室の扉は全て開いていて、一応中を確認したが誰もいません。

「やっぱり気のせいだったんだよ。」

「そうなの?まぁ、そうだよね~。はぁ。ついでにトイレ済まそうかな。」

「じゃあ私も。」

何もないことに内心ホッとしていたAさんでしたが、それは突然でした。

「あれ?」

「ん?どしたん?」

「いや、扉が・・・。」

「え!?」

手を洗っていると、いつの間にか昨日と同じ個室の扉が閉まっていました。

「・・・マジ?」

驚いて固まっている友達をよそに、Aさんは扉をノックしました。


コンコンッ。


「ちょっとA!?」

けれど、やはり反応はなく、中から音も聞こえません。

「やっぱり気のせいだったんだよ。ここの扉だけ壊れてるんじゃない?」

「な、なぁんだ!そ、そういうことね!」

「さぁ帰ろ?」

「うん。」


コンコンッ。


「え!?」

時間差で返事が返ってきました。

昨日はそんなことなかったはずなのに、今回に限って返事が返ってきたのだ。

「え!?え!?えー!?」

軽くパニックになっている友達を無視し、Aさんはもう一度ノックをしました。


コンコンッ。

コンコンッ。


すると、今度はすぐに返事が来ます。

「誰か中に入ってるのかも。」

「や、やばくない!?」

「ねぇ!誰かいるの!いるなら返事して!」

「ちょっと!?」

「・・・。」

返事はない。

「ごめんね!」

確認するためにAさんは謝ってから扉を開けようとしましたが、

「あれ?開かない!?」

いつもは引っ張れば簡単に開くはずなのに、押しても引いても扉は開きません。

「や、や、やっぱり花子さん!?」

「・・・じゃあ聞いてみる?」

「はいぃぃ!?」

Aさんは自分を落ち着かせるように深呼吸してから尋ねてみました。

「すみません。貴方は花子さんですか?」

「・・・。」

「花子さんだったら返事をしてくださーい。」

「・・・。」

「逃げようよA!?本当に花子さんだったらヤバいって!」

「確かめたいって言ったのはあんたでしょ。」

「そうだけど。だけど!」

「ねぇ!花子さんじゃないの?だったら誰?教えて!」

「・・・。」

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