第117話 学校の怪談~その14~
そんなことを話しながら土曜日登校しました。
結局その日も私のクラスにあの顔が現れることは無かったんですけど、隣のクラスに同じ顔が出てきたって聞きました。
「お礼を言いに行こうよA。」
「うん。」
隣のクラスにBと一緒に行くと、なんだか様子が変でした。
「何か変じゃない?」
「う、うん。」
Bに手を引かれ、集団をかき分けて黒板に着くと、言葉を失いました。
「え?何これ?」
同じ顔だとは思うんですが、その顔は眠っておらず、むしろ目が見開かれていました。
「おいおいおいおいおい!?」
「何だよこれ!?」
「気持ち悪い!」
そんな風に騒いでいたら、すぐにあの顔消えてしまいました。
それから私が卒業するまで一度もあの顔は出てきませんでした。
数年後、同窓会で集まった私たちの話題にあの顔が出てきました。
「あの顔って何だったのかね。」
「なぁ。」
「結局意味わかんなかったよね。」
「私、あの顔怖かったなぁ。」
「じ、実は俺も。」
「だよね。眠ってると思ってたら起きてるんだもん。」
「え!?あの顔って眠ってたの!?」
「最初はね。」
「私、写真持ってるけど・・・見る?」
「見せて見せて!」
そう言って、顔を撮影してた子が携帯電話取り出すと、「え?」っと言って不思議な顔をになりました。
「どうしたの?」
「えっと・・・あれ?あれ?」
「何だよ?」
「な、無いの!あの写真が!」
原因はわかりませんでしたが、あの顔を撮った写真は誰の携帯電話にも残っていませんでした。
でも今でもハッキリと皆覚えています。
あの、眠っている顔を・・・。
「以上が六つ目のお話しでした。」
「なんつうか、この学校って有名な学校の怪談が七不思議に無いんすね。」
言われてみればそうだな。
『生物室の魔物』も『トイレのお菊さん』も『図書室の借りれない本』も『笑う体育館』も『嘆きのヴィーナス』も『黒板の眠る顔』も聞いたことがない。
「不思議なことだよね~。けど、だからこそ本当に起こったことだと私は思うのだよ諸君。」
「そうなのかもしれないですね。僕自身も聞いたことの無い話ばかりで、正直話が聞けて嬉しいです。」
「んっふっふ~。優ちゃんは本当に怖い話が好きなんだね~。シッキーが言っていた通りの子だよ。」
・・・シッキー?それって・・・。
「そのシッキーって式子先輩のことっすか?」
「そうだよ!シッキーはね、優ちゃんのお話と怖い話をするときだけ嬉しそうなんだ~。まぁ、芽衣ちゃんをビビらせて喜んでるだけかもだけどねん。」
ありえない!!って言えないのが式子さんだな、うん。
「でも、私も芽衣ちゃんもシッキーのことは大事な友人だと思っているよ。ね?」
「は、はい。」
新堂さんにとっては困った友人かもしれないな。
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