第116話 学校の怪談~その13~

「何これ気持ち悪い!?」

Bの声に反応した教室に残っていた子たちが集まってきて、その顔に皆が驚いていました。

「この!消えろよ!!!」

日直の男子は黒板消しでバンバン叩いたり、雑巾で拭ったりして消そうとしていましたが、消える気配が全くありませんでした。

「クソッ!」

「ねぇ、これって寝てるのかな?」

誰が言ったのか覚えていませんが、その言葉を聞いて私も寝ているように見えたのです。

「うん、寝てるのかも。」

「どういうこと?」

「黒板も休みってか?」

「冗談はよせよ。」

「なぁ写真に撮っておこうぜ。」

「お!おもしれーじゃん。」

誰かがそう言うと、みんな携帯電話を取り出し、次々と眠っている顔を写真に撮って行きました。

すると少しずつ顔は薄くなって、お昼が過ぎた頃には消えてしまいました。

「き、消えちゃった。」

「何だったんだ?」

「なんだろうな。」

顔が消える前に携帯電話で写真を撮っていた人に見せてもらうと、バッチリと顔が写っていました。

「夢では・・・ないね。」

「うん。」

「けど、なんかあれだね。こうしてみるとちょっと上手いラクガキくらいにしか見えないね。」

「言われるとそうだね。」

これを幽霊の顔だって言って誰かに見せても、当時の教室に残ってあの顔を見ていた人しかこんな話信じられないんだろうなって思いました。

「・・・帰ろうっか。」

「うん。」

「いや~不思議な事もあるね。」

「そうだね。何て言うか不思議と怖くは無かったかな。」

「寝てたからかもね。」

「かもね。」

そんな風に笑う話にしてその日は帰りました。

月曜日の英語の時間。

その時間はチョークが折れる事無く、先生もご満悦な顔で授業は何事もなく普通に終了しました。

ちょっとだけ身構えていたけど、何事も無くてよかったって思いました。

「結局あの顔は何だったんだろうね。」

「そうだね。夢ってわけでもないしね。」

「いやAだけならありうるけど。」

「酷い!」

「あははは!冗談だよ。」

月曜日にあの顔が浮かぶことはありませんでした。

それから金曜日まで何事も起きないままに授業は終わりました。

・・・ちょっとだけ何か起こるんじゃないかって期待してたことは内緒です。

けれど、あの顔のおかげで私は授業中に居眠りすることはありませんでした。

「あの顔は何だったんだろうね。」

「きっとさ、あの顔は私たち生徒が授業中に眠くならないようにするために出てきてくれたんじゃないかな?」

「現にAは寝てないし?」

「ま、まぁそうだね。お恥ずかしい。」

「あははは!また出てきてくれたらいいのにね。そしたらAに代わって私がお礼を言っておくよ。」

「もう!」

私も少しだけお礼が言いたいと、思いました。

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