第112話 学校の怪談~その9~

けれど、それは突然に起こりました。

「これでよしっと。」

それは体育で使ったネットを片付けていた時です。

「・・・フ・・・フフフ。」

「ん?」

何か聞こえたような、そんな気がしました。

けれど、辺りを見回しても誰もおらず私の気のせいだろうと思いました。

でも次の日。

「・・・フ・・・フフフ。」

同じように用具室で片づけをしていると声が聞こえたのです。

その次の日も。

「・・・フ・・・フフフ。」

その次の日も

「・・・フ・・・フフフ。」

「やっぱり気のせいじゃない、よね。」

だんだんとその声は笑い声のように聞こえてきたのです。

それは日に日にハッキリと聞こえるようになりました。

笑い声が聞こえる度に周りを探しますが誰もいません。

「いったい何なの?ねぇ誰かいるなら出てきてよ。」

「・・・フ・・・フフフ。」

「もう!」

最初は怖かったのですが、害はないのでそこまで怯えませんでした。

「ねぇ、ちょっといいかな。」

「何ですか先生?」

「貴方が聞いたっていう笑い声って、フフフ?」

「ううん。あははははって聞こえました。」

「違う笑い声か。う~ん。」

気にはなりましたがもうすぐ実習も終わるということもあり、このまま気にしないでいようと思いました。

「それではお先に失礼しますね大森先生。」

「はい!」

それは仕事が少しばかり遅くなった日。

帰る前に何となく私は体育館が気になって様子を見に行きました。

「・・・うん!気のせいってことにしよう!さぁてかえ!?」

「アヒャヒャヒャヒャ!フフフフ!アハハハハ!ギャハハハハ!ヌハハハハ!フヒヒヒヒ!ハーッハッハ!」

近所迷惑になるぐらいの音量の笑い声。

それも一人じゃなく何人、何十人もの笑い声。

「ひっ!?」

怖くなった私は逃げるように帰りました。

中の様子を見る勇気は・・・私にはありませんでした。


「その後、この教育実習生だった大森先生は無事実習を終えた後、遠い場所で教師をやっているよ。」

「結局笑い声は何だったんだよ・・・こえぇ。」

確かにそうだな。

それにそんな騒音まがいな笑い声が聞こえていれば誰かしら噂するだろうに。

「正体は不明だよ。しかも近所の人の話を聞いてもそんなことは無かったてさ。直接大森先生に聞きたいけどどこにいるか知らないし、もう一人笑い声を聞いたっていう女子学生は名前すらわからないんだよ。くぅ~もやもやする!」

でもそんな話も聞いたことないよなぁ。

「んで、実際に何度か体育館に通ってもみたんだけど、笑い声は聞こえませんでしたよ、はい。それに他の生徒諸君に聞いても聞いたことないっていうばかりだしね。正直、謎のままなのだよ。」

ふむ・・・機会があれば僕も用具室を見に行ってみよう。

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