第105話 学校の怪談~その2~

新聞部、この学校のありとあらゆる情報を収集、精査した上で一枚のB4紙にまとめて掲示板に張り出すことを主な活動としている部活。

最近のスクープでは不良の煙草やとある先生の結婚報告など、どこから手に入れたのだろうと思う情報が載ったりもしている。

「ここだな。」

「うん。」

新聞部は歴史が長いからか、部室が広い。

ちょっとだけ緊張するなぁ。

「開いていますよ。」

「え?」

まだ扉に手をかけてないんだけど!?

「し、失礼します。」

扉を開けた中には眼鏡をかけたキャリアウーマンを彷彿とさせる女性が休むことなくキーボードを叩いている。

「あの・・・。」

「そちらにお掛けになってお待ちください。この仕事が終わり次第、対応させていただきます。」

物凄い丁寧な言葉遣いだな。

言われるがままに高橋と共にソファーに座ると、何処から現れたのかわからないままにメイド服の女性が目の前のテーブルにアイスティーを置いていく。

「あ、どうも。」

メイド服の女性は一礼すると、扉の前に立ち尽くしてしまう。

「ふぅ。」

肩を軽くもみ、引き出しからファイルを取り出して僕らの前に持ってきて座る。

「今日のご用件はこの学校の七不思議についてでよいですか?」

な、なんだと・・・。

「すっげ!!何でわかったんっすか!?」

「それは情報が入ったからです。そちらの高宮さんが七不思議について知りたがっていると。」

何処情報だよ!

「マジかよ。」

「大真面目です。」

高橋、君の気持ちは僕にも理解できるよ、うん。

「早速ですが、学校の七不思議についてお話ししてもよろしいですか?」

「あ、その前にお名前を伺ってもいいですか?」

「私は新聞部副部長の新堂芽衣しんどうめいと言います。あちらに立っているのが新聞部部長の安楽川潤あらかわじゅんです。」

あっちが部長かい!!

てか、なんでメイドなんだよ!!

「それにつきましては部長の趣味としか言いようがありません。」

・・・え?心読まれた?

「驚かれたのなら申し訳ありません。皆が思う疑問を早々に答えさせていただいただけですので心を読んだわけではありません。」

あ、そうですか。

「それではお話をさせて頂きますが、その前にいくつかこちらが質問してもよろしいでしょうか?」

「か、構いませんよ。」

「俺もいいっすよ。」

「あ、高橋さんにお聞きすることは考えていませんのでお気になさらず。」

うん悪気はないんだろうけど高橋にはダメージが入ったよ、うん。

というか安楽川さんがいつの間にか貴方の横でリスのようにビスケットを食べてるんですけど?

え?これが新聞部では当たり前なの?

「いいえ、これも部長の趣味の一つお菓子作りで作ってきたビスケットです。」

・・・本当に心読めてないの?


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