第104話 学校の怪談~その1~

学校の怪談とは、簡単に言えば学校にまつわる怖い話のことである。

学校の怪談は子供たちの間で、“分からない”という要素が必ず含まれるコミュニケーションツールとして現代でも数多く存在している。

学校の怪談は『子供の他愛無い戯言』とされる場合も多いのだが、現代の怖い話には、その時代性を引用することでリアリティを付加される事例も多く、学校以外にも広まることから地域を巻き込んだ社会現象になったものもあるのだ。

それが学校の怪談である。

また、似たようなもので学校の七不思議が存在する。

学校の七不思議は一つの学校に存在する七つの怖い話を総称した言い方であり、七つの怖い話は必ずしも七つあるとは限らない。

付け加えると、八つ目を知ってしまうと不幸が訪れるなんていう噂もあるのだ。

今回僕が式子さんに教えて欲しいのはこの“学校の七不思議”の方である。

「でも、ただ単に式子さんに聞くだけじゃオカルト研究会の一員として情けないよなぁ。」

「何が情けないんだ?高宮。」

中庭でのお昼の一時、それを邪魔するように、いやちょうどいいタイミングでの高橋の御登場だな。

「いやさ、今日の放課後に式子さんからこの学校の七不思議を聞くことになってんだよ。」

「ほぉほぉ。」

手作り弁当、おそらく彼女の手作り弁当を広げているなこいつ。

「だけどさ、ただ単に聞くのはオカルト研究会の一員としては良くないんじゃないかなって思ってさ。」

「なるほどな。まぁ、あの人なら自分で話すのは好きだから気にすんなって言いそうだけど、まぁ軽く調べんのはいいんじゃねぇの?」

「それでさ、僕はこの学校に入学してからそういう噂って聞いたことないからどうやって調べようかなって考えてたんだよ。」

「な~る。そう言われると俺も聞いたことねぇな。ちょっと待ってろ。」

ポケットからスマホを取り出した高橋は手慣れた手つきで電話をし、だらしない顔を僕に見せながら愛おしそうに電話を切る。

「今美雪に聞いてみたんだけどよ、美雪も詳しくは知らねぇってさ。」

美雪とは高橋の自慢の彼女である。

正直に言ってどうしてこいつを?と最初は思いました。

「そっか~。」

「だけど、流石は美雪。学校の七不思議については知らないけど、学校の七不思議を知っている人は知ってるってさ。」

「マジ!?誰!?」

「花咲先輩!」

殴るぞキサマ。

「冗談だよ。美雪によれば知っているのは花咲先輩と新聞部の安楽川あらかわ先輩だってさ。」

新聞部?確か学校新聞を作っているところだよな・・・。

「言われれば学校の情報を取り扱ってんだから学校の七不思議も知っていてもおかしくないな。」

「だろ?なんなら飯を早く食って行ってみようぜ!」

「ああ!」

だけど僕は早食いはしない。

しっかりと噛まないとね。

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