第99話 式子さんの怖い話~海の写真中編~
「なぁ、写真に面白ポーズで撮らね?」
「やっべ!それめっちゃいいじゃん!」
「んじゃ、この元写真部が撮ってやるよ。」
「頼むぜB!」
友だちの一人が元写真部で、思い出作りの為に高性能のカメラを持ってきていました。
俺たちは思い出作りにと、おもしろいポーズをとって飛び込む瞬間を撮影することにしたのです。
「どうよ?」
「めっちゃおもろい感じだぜ。」
Bが撮ってくれる写真はかなり上手くて、どれもハッキリと写っていました。
「んじゃまた俺な。」
「いいよ。」
「なぁB。」
「何?」
「お前は良いのか?」
「え?」
「お前は写真に写らなくていいのかって聞いてんだよ。」
「僕は大丈夫だよ。なんなら最後に夕日をバックにみんなで撮りたいな。」
「・・・わかったよ。んじゃそうしような。」
「うん。」
「なぁ~にホモップルぶりを見せてんだよ。」
「ちげぇよ!」
「あ!ごめんC君。写真撮ってない。」
「ちょーーいい!!」
そんなやり取りをしていた俺たちは気づかなかったのです。
いつの間にかDがいないことに。
気がついたのは夕方でした。
「あれ?」
「どうしたんだよA?
「いやさ、Dはどこいったんだ?」
「は?そんなの・・・あれ?」
「いないね。」
辺りを見回してもDの姿は見えませんでした。
「便所か?」
「一応見てくるよ。」
そう言ってBがトイレを見に行ってくれましたが、いませんでした。
「やばくね?」
「いやいや!そこら辺にいるんだろ。」
「な~るほど。俺たちを脅かそうってことだな?」
「そ、そうだよ!それだよ!全く、探すぞ!」
みんなで浜辺を探し回りましたがDは見つかりませんでした。
「・・・いないね。」
「・・・ああ。」
「ったく!どこ行ったんだよあいつ!」
「君たち何をしてるんだ?」
地元の人だったんだと思うのですが、20代くらいのお兄さんに声を掛けられ、事情を説明しました。
お兄さんも一緒に探してくれて、もう少し探しましたが、やはり見つかりません。
「これ以上はもう遅い。僕の方で明日以降も探しておくから君たちは帰りなさい。」
Dのことが心配ではありましたが、お兄さんの言うことも正論だったので、反論することもなく俺たちは帰宅することにしました。
正直に言うと、俺たちの誰もが「ひょっとして海で…」と最悪の事態を考えていました。
そんな嫌な考えを振り払うように神社で神頼みをしましたが、届きませんでした。
Dが見つかったのは俺たちが海で遊んだ1週間ほど経った頃で、残念ながら悪い予感は当たってしまったのです。
後で警察に聞きましたが、Dは海で溺れて、亡くなったそうです。
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