第98話 式子さんの怖い話~海の写真前編~
「今日も知っている話だったな星夜。」
「くっ。」
最近の神楽坂さんの持ってくる怖い話は式子さんの知っているものばかりで式子さんは満足できていない感じだ。
神楽坂さんはというと、気持ちよく話し終えるとすぐさま膝をつくの繰り返し。
正直に言えば僕も結構知っている話ばかりで、何というか勉強の復習をしている感じだ。
「どうしてなんだっ!」
「仕方のないことだ。私程になるとちょっとの噂にも反応して調べるからな。」
「はぁ~。」
「あの・・・。」
「ん?何だ優君。」
「まだ時間も早いですし、式子さんの怖い話を聞かせてくれませんか?」
「俺も聞きたい!式子、頼む!」
「ふむ。」
目を閉じ、思考を巡らせた式子さんは怪しげな微笑を見せる。
「なら、こういう話はどうだろうか。これは、とある大学生の話なのだが・・・。」
これは俺が大学生の頃の話だ。
来年に卒業を控えた俺たちは何かしらの想いで作りがしたくて、仲の良い友人たちで集まって、夏休みに海へ遊びに行ったんだ。
「いや~海なんて久しぶりだな。」
「だな~。」
「今日は俺、絶対にナンパ成功させるかんな!」
「出たよ。今回も絶対にCは負けるな。」
「うるせ!」
テンションが高いままに海に着くと、すぐさま水着に着替え、浜辺に行ったのですが、シーズンが早かったのか、海には俺たち以外誰もいませんでした。
「チクショウ・・・。」
「そう落ち込むなよC。いつか良い彼女ができるって。」
「そうだな。Aの言う通りだ。」
「んなら負のテンションはここまで。これからは正のテンションで行こうぜ!」
「何だよそれ。」
俺たちは気を取り直して浜辺ではしゃぎました。
しばらく遊んでいると、友達の誰かがこう言ったのです。
「あそこから飛び降りてみようぜ」と。
言われて見ると、小高い崖が見えたのです。
浜辺にはちょっとした崖になっている部分があって、飛び込んで遊ぶにはちょうどいい感じだったのを覚えています。
「いいじゃん!」
「んだな。」
「そんじゃやろうぜ!」
戸惑うことなく、俺たちは飛込みをすることにしました。
崖から下を見ると、高さはさほどなく、子供でも飛び込めそうな感じでした。
「っしゃ!俺からな!」
「いっけ!いっけ!」
久しぶりに海でテンションの高かった俺たちは、危ないなんて全く思わずに次々に飛び込んでいきました。
「やっべ!超楽しい!!」
「やべぇよな!」
「おっしゃ次は俺が綺麗なフォームを見せてやんよ!」
「やれやれ!!」
俺たちは何かにとりつかれたように夢中で海に飛び込みました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます