第100話 式子さんの怖い話~海の写真後編~
ショックを隠し切れなかった俺たちは顔を合わせても話す余裕がなく、どんどん集まらなくなっていきました。
そんな時、Bが集まろうと声を掛けてくれたのです。
「いつまでも僕たちが落ち込んでたらD君に申し訳ないかなって。」
「・・・だな。」
「それに俺たちの仲でギスギスすんのも嫌だしな!」
「うん。それにさ、まだ写真も現像していないし。これを機に現像してD君の家族にも見せようよ。」
「よし!そうしようか!」
前向きになった俺たちは写真の現像をBに頼みました。
写真が現像されると、Bは煮え切らない態度を俺たちに見せたのです。
「なぁ!見せてくれよB。」
「でも・・・。」
「俺たちも見たいんだよ。最後の思い出に。な?」
「けど・・・。」
「いいから見せろよ!」
「・・・その、嫌なものが写ってるけどいいの?」
最初はBの言っていることが分かりませんでした。
現像しようと言ったBが見せたくないなんて言うとは思わなかったのです。
だから半ば強引に写真を奪い、見たのです。
Bの撮った写真には、楽しそうな俺たちの姿やDの笑っている写真ばかりでした。
「なんだ、良い写真じゃんか。」
「変なこと言うなよなB。」
「・・・。」
「B?」
「最後まで見てみなよ。」
言われるがままに、写真を見ていくと最後に出てきた写真を見て、俺たちは震えました。
「何だよこれ・・・。」
そこにはDがふざけたポーズで海に飛び込む瞬間。
しかしその後ろには、海から伸びる無数の白い手がDの足を掴んで離さない強い意志を感じるものでした。
「結局、その写真を見せることはなく、お寺に預けたそうだ。」
話し終えた式子さんはポンっと手を叩いて終わりを告げる。
「いや~ゆっくりとゾクゾクしましたね神楽坂さん!」
「ああ!この話は俺も聞いたことがない!流石は式子!こんな話も知っているんだね!」
「ふふ。お褒めに頂き光栄だ。」
「俺も、早く次の怖い話をしたくなったよ。」
「僕もです!明日は僕に話させてください式子さん!」
「ふふ。では、明日は優君に話してもらおう。」
「んふふ。では俺も探してきて話そうかな。」
「それはダメだ。」
「何故!?」
「星夜はじっくりと探した方がいい。これほどまでに私たちが知っている話ばかりだと、退屈だ。」
「ぐはっ!?」
式子さんの剣は神楽坂さんの胸を、心臓を貫き、膝をつかせる。
そのまま式子さんは神楽坂さんの見ることなく部屋の外に歩いていく。
「か、神楽坂さん?」
「・・・へへ。」
神楽坂さんは、涙を流しながら笑っていました。
その、不気味だったので僕も逃げるように帰っちゃいました。
だって、マジで怖かったし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます