第67話 麒麟園さんの怖い話~猿夢前編~
「高宮兵!高宮兵!」
「どうしたんですか麒麟園さん。」
笑顔で迫る麒麟園さんの揺れる二つの双丘に目が行きそうになるのを堪えながら笑顔で応対する放課後の部室。
珍しく式子さんが遅れてくるので二人っきりである。
「面白い話をネットで見つけたでありマス!」
「面白い話?何ですか?」
「
「さるゆめ?なんか聞いたことあるような気がしますが、どんな話でしたっけ?」
「ぐふふ。ではでは自分が仕入れた新鮮な怖いお話を早速披露するでありマス!」
猿夢ってどんな話だったかな~?
なんかグロかったような気も・・・。
「あ!このお話は結構えげつないので注意してくださいでありマス!」
あ、やっぱり?
Aさんは特に何かあるわけでもない何処にでもいる普通の女子高生でした。
でももし、何か特技は?と聞かれれば夢の中で自由に動ける、とAさんは答えるでしょう。
そんなAさんが体験した奇妙な話です。
Aさんは久々に夢を見ました。
その夢でもやはり自由に動けたのです。
でもこの夢は奇妙でした。
Aさんは薄暗い無人駅に一人でいました。
辺りを見回しても誰もおらず、ベンチや自動販売機のようなものない。
何もない駅でした。
「ここにいても仕方ないよねぇ。」
ため息をつき、その場を離れようとした時です。
『え~まもなく、まもなく~電車が到着します~。この電車は恐怖の電車で~す。お乗りの際は~十分な覚悟を持ってお乗り下さ~い。どんな恐い目に遭っても知りませ~ん。」
と、駅に精気の無い男の人ような声でアナウンスが流れたのです。
「はぁ?どういうこと?意味が分かんないんだけど?」
Aさんが文句を言っているうちに明かりが見え始め、Aさんの目の前に電車が止まったのです。
「え?これって・・・。」
ですがその電車は鉄道の電車ではなく、遊園地などにあるようなお猿さん顔やおもちゃが乗っている電車のようなものでした。
Aさんが中を覗くと、数人が一列に乗っている見えました。
けれど皆が皆、青ざめたような顔色です。
「何で?みんな病気かな?」
そんなことをつぶやいていると、Aさんを誘うように扉が開きました。
乗るか乗らないか、Aさんは少しだけ悩みましたが、どうせ夢だからと自分に言い聞かせ、乗ることにしました。
「まぁ、そのうち起きるでしょ。大丈夫、大丈夫。それに興味あるよね~。私自身が私自身に与える恐怖ってのも。」
だんだんとワクワクしてきたAさんはいつの間にか笑顔になっていました。
『発車しまーす。今ならまだ引き返せますが、後悔はありませんか~?』
「私の夢なんだから嫌だったら起きればいいしね。」
この時のAさんはこの夢を甘く見ていました。
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