第64話 オカルト研究会に相談事~真壁君その1~

それはお昼時、高橋の惚気話のろけばなしを聞いていた時だ。

「なぁ、少しいいか?」

知らない人に声を掛けられたが、僕が知らないだけで高橋の友人なのだろうと僕は無視して食事を続けた。

けれど、彼が用があったのは僕だった。


「確か・・・隣のクラスの真壁まかべ、だっけか?」

「ああ。」

あれ?高橋も知らないのか?

「何か用か?」

「いやお前じゃないんだけど・・・。」

うん?僕を見た?

「じゃあ高宮に用があるのか?」

「ま、まぁ。」

なんか歯切れ悪いなぁ。

「高宮に何の用だよ?」

「た、高宮はさ、オカルト研究会に入ってるんだよな?」

「うん。」

「じゃ、じゃあさ、変なことを話しても笑わないか?」

「どういうこと?」

「ここだとあれだからさ、場所移さねぇ?」

高橋に確認すると、頷いてくれたので真壁君の言う通り、僕たちは場所移す。

もちろん場所はオカルト研究会の部室だ。

「ここならいいかな?」

「悪いな。」

「気にしないでよ。それで?変なことって?」

「その、馬鹿な話なんだけどさ、この前の休みに横山よこやま長井ながいと俺の三人で水族館に行ったんだ。」

「男三人で水族館かよ~。」

「ほっとけ!だけどさ、流石に高くてやめたんだよ。んで、その後のことなんだよ・・・。」


俺たち三人は金のかからない公園で遊ぶことにしたんだよ。

「何もねぇな。」

「だね。まぁ森林公園って名前だし、仕方ないよ。」

「しゃーねよ。あんなに高いなんて思わねぇって。」

俺たちは適当にぶらついて、腹が減ったから一旦コンビニに行って飯買ってベンチで食べてたんだよ。

「はぁ~バイトでもするか?」

「バイトすれば確かに水族館に行き放題だよね。だけど、僕は飼育で忙しいから・・・。」

「真壁はどうよ?」

「俺もバイトぐらいやろうかな~。水族館があんだけ高いんだ、きっと映画だって高いだろうし。」

「だよな~。けど、バイトって何するよ?」

「コンビニでいいんじゃないか?楽そうだし。」

「けど、安いぞ~。」

「そんなことを言ってたらどこもバイトできねぇじゃん。」

「ねぇ、あの人・・・。」

「あ?」

喋んのに夢中で気づかなかったんだけど、俺たちの前のベンチに爺さんが座っててさ、手招きしてたんだよ。

けど、今思えば最初はいなかったような気がするんだ。

「あれって、俺たちを呼んでるのか?」

「僕ら以外にいないからそうじゃないかな?」

「どうするよ真壁?」

「ん~。なんか困ってんならこれも何かの縁だし、行ってみるか。」

少しは迷ったんだ。

けど、無視するのはなんか後味悪くってさ。

だから爺さんに話しかけたんだ。

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