第63話 麒麟園さんの怖い話~彼は何処に?後編~
「よ~し!そんじゃCから行こうぜ!」
「はぁ?お前から行けよB!」
「え、えー!?」
「そうだな。言い出したのはBなんだ。君から行くべきだよB。」
「ま、マジかよ・・・。」
B君は恐る恐るトンネルの中に入り、震えながら出口まで歩いたそうですが、何も起きなかったそうです。
「んじゃ安全も確認されたし、俺から行くか?A。」
「そうだな。」
「はいよ。」
B君で安全を確認できたC君は何事もなくトンネルを渡り終え、後はA君を待つだけだったそうです。
「それじゃあ僕も行くか。」
ゆっくりと歩くA君。
どうせ何も起きないと思っていたB君とC君はお喋りをし、少しの間A君から目を離していたそうです。
「何かA遅くね?」
「だな。」
A君が遅いことに違和感を感じたB君とC君は後ろを振り返ったそうです。
すると、ゆっくりと歩くA君と並ぶようにコートを着た女性が歩いていたそうです。
「・・・は?」
「ま、マジ?」
「冗談だろ?」
「だ、だよな?たまたま人が通っただけだよな?」
B君とC君が深刻そうな顔をしていたことに気づいたA君は隣を見てしまったそうです。
その存在はとても不気味な笑顔でA君を見ていました。
すぐさま目を逸らし、走ろうとしたが足が上手く動かないA君。
けれどすぐさまB君の話を思いだし、落ち着いて慌てず歩き続けるA君。
次第に近づく出口に安堵した瞬間、A君の足が止まりました。
「え、A?」
「何やってんだよA!」
「・・・もう、遅かったんだ。」
「・・・え?」
その言葉を最後にA君は急に目の前から消え、コートを着た女性は何事も無いようにB君とC君の隣を通り抜けたそうです。
それ以降、A君を見た人はいません。
あの時、A君を問い詰めていれば、もしかしたら・・・。
今でもそんなことを考えてしまいます。
「以上でありマス!」
「よ、よくわからない話ですね。」
「まぁネットでゲットした情報でありマスからな。嘘の可能性の方が高いでありマス。」
「何て言うかあんまり怖くない話よね~。」
いつまで肩に手を置いてるんだろう?
僕的には役得の部分があるので長くてもいいんだけど。
「こほんっ。実に君らしい怖い話だったよ千夏。」
「いったぁっ!?」
柑奈さんの意図に気づいた式子さんが柑奈さんの手を思いっきりつねる。
「ちょっと式子!」
「いつまでも手を置いていては優君に迷惑だろ。」
「いや別に僕は・・・はい!動けなくてちょっと困っていました!」
式子さんのその微笑みだけはダメだと思います。
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