第57話 神楽坂さんの怖い話~ポストマン中編その1~
次の日、それは突然起こりました。
「嘘だろ?」
「マジかよ・・・。」
教室に入ると、男子が集まっていました。
「何かあったのかな?」
「聞いてみないA子。」
「そだね。」
「おーいC君!」
呼ばれたC君は難しい表情のまま私たちの前に来ました。
「何かあったの?」
「いや実はさ、あそこの机の上に不幸の手紙があったんだよ。」
「不幸の手紙?」
「うっそまじ!?本物の不幸の手紙!?」
「いや、本物かどうかは知らないけど、内容を読む限りそうだと思うぞ。」
「なんて内容なの!」
食いつきがすごいB子に微妙な表情になってしまう私。
「たしか・・・貴方は不幸の手紙に選ばれました。残念ですが、貴方には不幸が必ず訪れます。ご愁傷様です。もし、貴方が不幸から逃げたいのならこの手紙と同じ内容の手紙を貴方の友人三人にお渡しください。さすれば貴方から不幸は離れて行くでしょう。・・・だったか?」
「マジで本物じゃん!」
「いや冗談でしょ。単なる誰かのイタズラでしょ。第一、何であの机の上なのよ。それじゃあ誰が選ばれたかわかんないじゃん。」
「それは・・・たしかに。」
「俺たちもそう話していたんだよ。だけど、昨日の今日だろ?だから気味悪くてな。」
「ねぇねぇC君、ちなみに誰が最初に開けたの手紙。」
「ああ。Dの奴が最初に気づいてそのまま中身を確認したんだよ。」
「じゃあ選ばれたのってD君じゃないの?」
「止めなよB子。言っていい冗談と言って悪い冗談があるよ。」
「は~い。」
その手紙をD君が捨てているのを見ましたが、私は気にすることもなく講義を受けました。
次の日、D君は大学を休みました。
私は気にしませんでしたが、B子はとても怯えていました。
「やっぱりあれは本物だったんだよ。」
「だからさ~あれはイタズラだって。」
「だけどD君今日休みじゃん。」
「たまたまでしょ?昨日、C君たちと飲みに行くの見たよ。きっと飲み過ぎて寝てんじゃないの?」
「で、でも、もし本当にあれが不幸の手紙でD君に不幸が訪れていたら?」
「じゃああそこに手紙を置いた人がわかれば問題解決なの?」
「それは知ってる。」
「え?」
「ポストマン。」
B子の答えについついため息をついてしまいました。
「はぁ~。あのねB子、ポストマンは作り話。いわば都市伝説のような存在なの。だからいる訳ないじゃん。」
「で、でも私見ちゃったの!」
「・・・何をよ?」
「D君の家の前にいる真っ赤な服を着た郵便配達員。」
怯えているB子に嘘をついている様子はありませんでした。
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