第56話 神楽坂さんの怖い話~ポストマン前編~
「今日は俺の話を聞いてくれ子犬ちゃん。」
またしても部活に来て早々に壁ドンかよ。
「い、いいですけど、近いです神楽坂さん。」
「んふふ。そろそろ“星夜”と呼んでくれないかな子犬ちゃん。」
ウインクされるが却下だ。
「すみませんが僕はまだ神楽坂さんと仲良くなる自身があまり・・・。」
「おや?ではもっと俺と親密になって俺無しではいられない体にしてから呼んでもらおうかな。」
やめろ変態!僕に近づくな!
神楽坂さんを半ば無理矢理動かして、式子さんの近くに座る。
「んふふ。子犬ちゃんは式子に懐いているようだね。」
柑奈さんがいない以上、ここが最も安全地帯なだけです。
「早く話したまえ星夜。私は君の話が待ち遠しいよ。」
「んふふ。ではお言葉に甘えて。」
僕の前の席に神楽坂さんは座り、語りだす。
「これは女子大生に起こった出来事だ・・・。」
あなたはポストマンを知っていますか?
「急にどうしたのB子?」
「いや~久々にポストマンの話を聞いてね~。A子は知ってるかな~って思ってさ。」
「う~ん・・・。聞いたことないな~。」
「うっそまじ!?うちが小学生の頃に結構流行った話なんだけど!?」
「それはすみませんね。私は県外から来てますよーだ。」
私はわざとらしくそっぽを向きました。
「ごめんごめんって!えっとね、ポストマンていうのは郵便配達員のことなんだけど、配達されてくる物は“不幸の手紙”、“呪いの手紙”、そして“死の手紙”だけなの。」
「あ~不幸の手紙って子供頃に流行ったよね~。」
「でしょ!そこからポストマンも生まれたんじゃないかって言われているのよ!」
「へ~。あんま興味ないなぁ。」
「まぁ聞いてよ!そんでね!不幸の手紙と呪いの手紙は似たようなものだから説明を省くけど、問題は死の手紙なの!」
「えー。どうせ死の手紙を受け取ったら死んじゃうって言うんでしょ?わっかりやすい話だな~。」
「違う違う!死の手紙を受け取ると、誰かを殺すお願いができるのよ!」
「・・・え?」
「だからね!殺すお願いができるのよ!名前さえ書けばポストマンがその人を殺してくれるんだって!」
「・・・なんか、やだなぁ。私、そういうの嫌いかも。」
「まぁね~。そこまで殺したいって思う人なっていないもんね~。けどね、絶対に書かなきゃならないのよ。何でかというとね、書かなかった場合受け取った人が殺されちゃうのよ。それも嫌でしょ?」
「ん~だけど私はやっぱり誰かを殺したいなんて思わないなぁ。」
「だよね~。まぁ私も届いたら届いたで何も書かないかも。」
「でしょ!もうこの話は終わり!次の講義に行こう!」
「そだね。」
その日はポストマンの存在を信じることはありませんでした。
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