第55話 柑奈さんの怖い話~ボニーちゃん後編~
次の日、Aちゃんは約束通り放課後にBちゃんと校庭で遊ぶことにしました。
「何するの?」
「えっとね、じゃあかくれんぼしよう!鬼はAちゃんね!」
「うん、いいよ。」
「じゃあ10数えて!私を見つけられたらお菓子あげるね!」
「うん!」
Aちゃんは目を閉じて数え始めました。
「1、2、3・・・・・9、10。もういいかい?」
「もういいよ~」
「ま~だだよ。」
「え?どっち?」
「もういいよ~。」
目を開けたAちゃんは周りを見回しました。
「う~ん何処かな~。」
Aちゃんは簡単な場所から探し始めました。
けれどBちゃんは見つかりません。
「ここかな?いないな~。」
あっちに行ったりこっちに行ったりして校庭中を探しましたがBちゃんは見つかりません。
「もしかして学校の中?」
Aちゃんは学校の中を探し始めました。
すると、すぐにBちゃんを見つけました。
「Bちゃん見っけ!」
「・・・。」
Bちゃんは教室で窓の外を見て立っていました。
「Bちゃん?」
「・・・。」
「ねぇ聞いてる?もう見つけたよ!今度はBちゃんが鬼でしょ?」
「・・・。」
「ねぇ、Bちゃん!」
何も答えてくれないBちゃんに詰め寄ろうと一歩教室に入った瞬間、Aちゃんの目に信じられないものが入ってきました。
それは窓の外でAちゃんのことを探すBちゃんの姿です。
「・・・え?」
「ミツカッチャッタ。」
振り返ったその子は、後ろ姿はBちゃんに似ていましたが、顔は真っ黒で真っ赤な口でニタァっと笑っていました。
「ひっ!?」
恐怖のあまり腰を抜かしてしまったAちゃんにゆっくりと近づいてきます。
「こ、こ、こ!?」
声が上手く出せないままに真っ黒な手が伸びてきます。
「ヨクミツケタネ。ワタシガオトモダチニナッテアゲル。」
「い、い、い!?」
「サァ、イッショニアソボ。」
逃げることのできないAちゃんは必死に目を瞑りました。
「あ~Aちゃんこんなところにいた~。」
「え?」
目を開けると、Bちゃんの顔が目の前にありました。
「び、Bちゃん?」
「もう~何やってんの?」
「え?」
周りを見ると、Bちゃん以外誰もいませんでした。
「もう遅いから帰ろうよ。」
「う、うん。」
AちゃんはBちゃんに引かれて帰りました。
「何だったんだろう?」
「何が?」
「う、ううん!何でもないの!」
Aちゃんはあの真っ黒な存在を見ていないと思い込むようにしました。
「そう言えばさ、何で昨日は先に帰っちゃったの?」
「え?」
「Aちゃんさ~私が先生の所に行ってるうちに帰っちゃったじゃん!」
「え?」
「あの真っ黒な存在がボニーちゃんだったのでしょうか。おしまい。」
「ふふっ。実に怖い話だったよ柑奈。」
「だろ!あたしも聞いた瞬間から絶対に式子に話そうって思ったんだ~。」
「僕も怖かったですよ柑奈さん!いつからBちゃんはボニーちゃんと入れ替わってたんでしょうね?」
「少なくとも遊ぶ約束をしたときには既にボニーちゃんだったのかもな。もしかしたら時々Bちゃんとボニーちゃんは入れ替わっていたのかもしれない。友達になったら幸福になるのか、それとも絶望か。どうなるのか想像していて面白い。」
「・・・てか式子、楽しんでない?」
「私を怖がらせるのは不可能だよ柑奈。基本的に怖い話は好きだからね。」
笑う式子さんを見て、微妙な表情な柑奈さんだった。
もしかしたら貴方の学校にもボニーちゃんがいるかもしれませんね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます