第54話 柑奈さんの怖い話~ボニーちゃん中編~

「ぼにーちゃん?」

聞いたことの無い名前にAちゃんはつぶやいてしまいました。

「Aちゃんは知らないの?ボニーちゃん。」

「うん。ボニーちゃんていう子、クラスにいたかな?」

「あはは!ボニーちゃんは噂だよ、噂。」

「噂?」

「そうだよ。ボニーちゃんはクラスに現れる幸福な子供のことだよ。」

「幸福な子供?どういうこと?」

「あのね、校長先生がお話ししてくれたんだけどね。ある日、クラスに一人多く子供が増えていることがあるんだって。それでね、その子はボニーちゃんって言うんだけど、大人には見えて子供には見えないんだって。それで子供がボニーちゃんの姿を見れると、お友達になれるチャンスなの!」

「チャンス?」

「そう!ボニーちゃんとお友達になれると幸福になれるんだって!」

「そうなんだ。」

Bちゃんから聞いたボニーちゃんの話をAちゃんはあまり信じていませんでした。

けれど、気になってしまったAちゃんはお爺ちゃんにそのことを話しました。

「そうか。まだあったんだなその噂。」

「え!?お爺ちゃんも知ってるの!?」

「ああ。爺ちゃんの子供の頃にも会ったんだよその話。だが、爺ちゃんが聞いた話とは少し違うな。」

「え?どういうこと?」

「爺ちゃんが聞いた話ではボニーちゃんと友達になってしまったら二度と親にあえなくなるっていう話だったなぁ。」

「そうなの!?それ本当!?」

「まぁこれは知らない人にはついて行くなっていうことを子供に分かりやすく怖い話にして伝えていただけだけどな。」

「じゃあ嘘なの?」

「ああ。そもそもボニーちゃんなんていないんだよ。」

「ふ~ん。」

「Aちゃーん、お料理を手伝って~。」

「は~い。」

Aちゃんは嘘だと分かると、すぐに興味を無くしました。

それからしばらくAちゃんはボニーちゃんのことを忘れ、学校生活を楽しんでいました。

「Aちゃーん。一緒に帰ろう!」

「うん!」

特に仲良くなったのはBちゃんでした。

「ねぇねぇ!今日こそは私の家に遊びに来ない?美味しいお菓子もたくさんあるよ!」

「ごめんね。お家のお手伝いをしないといけないから。」

「えー!またぁ?いつもそうじゃ~ん。」

「ごめん。」

「じゃあ今度の休みは?」

「ごめん。」

「えー!いつなら遊べるのAちゃん!」

「えっと学校で遊ぶじゃダメなの?」

「学校か~できれば私のお家で遊びたいんだけどな~。」

「う~ん・・・。」

「しょうがない。じゃあさ、明日の放課後校庭で少しだけ遊ぼ?ね?」

「うんわかったよ。明日の放課後、校庭でね。」

これ以上、断るのが悪いと思ったAちゃんはBちゃんとの遊びの約束をしました。

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