第58話 神楽坂さんの怖い話~ポストマン中編その2~

B子が嘘をつくわけがないと思った私は、C君に聞いてみることにしました。

「は?昨日のこと?」

「うん。なんかD君と飲みに行ったぽかったじゃん。そのことを詳しく聞きたいな~って思ってね。」

「あ~。っつても変わったことはなかったけど?」

「いいからいいから。」

「ん~とな、Dの奴が大学終わりに俺たちを飲みに誘ってきてよ。珍しくおごるっていうから何人かで飲みに行って、んで日頃の鬱憤うっぷんを晴らしながら二次会まで行って、そんで酔いつぶれたDを俺が送っていって終わりかな。」

「その時、D君の家の前に誰かいた?もしくは中に。」

「いや、そんな奴は見なかったな。何でだ?」

「いや~何となく?かな。」

「ふ~ん・・・やっぱ不幸の手紙なんかな。」

「え?何でそう思うの?」

「いやさ、Dが休む理由が思いつかなくってな。さっきも友達と話していたけど、やっぱり休む理由が浮かばなくてな。」

「単なる酔いつぶれじゃないの?」

「それはねぇな。Dってさ、酒に滅茶苦茶強いんだよ。滅多に酔いつぶれないし、酔いつぶれても次の日にはけろっとしてるしさ。」

「じゃあ病気とか?」

「いやそれもないかなって思ってよ。昨日滅茶苦茶元気だったし。」

「それもそうだよね~。」

「じゃあ考えられるのは何かって聞かれたら、やっぱ昨日の不幸の手紙かなって思ってさ。」

「けどあれってイタズラでしょ?」

「そうかもしんねぇけどさ、じゃあ誰がイタズラしたんだ?」

「それは・・・私も知らない。」

「だったらやっぱポストマンがあそこに置いたんじゃねーのかな。」

「じゃあ何でポストマンがあそこの机の上に置くの?」

「それは・・・あれだよ。宛先が無かったからあそこに置いたとか?」

「それは適当すぎでしょ。だいたいD君が見る保証はないじゃん。」

「それもそうか。ん~やっぱ電話してみるか。」

そう言ってポケットからスマホを取り出して電話をかけてくれたのですが、D君につながることはありませんでした。

それからすぐにD君が交通事故に遭って入院したことが私の耳にも入ってきました。

「やっぱりさ~。」

「だよな。」

「それ以外ありえないだろ?」

「やべぇな。」

「だ、誰も俺に渡すなよ!」

私たち大学生の間ではポストマンの存在がどんどん広まり、現実味を帯びてきました。

「A子~私怖いよ~。」

「大丈夫だって。B子が恨まれる理由も無いんだし。」

「だけど一人はいやー!」

「わかったわかったよ。じゃあ今日から泊まりに行ってあげるって。」

「本当!?」

「ほんとほんと。」

「A子大好きーー!!」

「はいはい私も大好きですよ。」

これが、私とポストマンが出会うきっかけになるとはこの時は思いませんでした。

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